2023 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪組織の無菌性慢性炎症を中心にした核酸の新規機能の解析
Project/Area Number |
20K19695
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Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
西本 幸子 甲南女子大学, 医療栄養学部, 助教 (90824053)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 慢性炎症 / 遊離核酸断片 / インスリン抵抗性 / 肥満 / 代謝 / 核酸分解酵素 / DNA |
Outline of Annual Research Achievements |
2型糖尿病で問題となるインスリン抵抗性の発現には、脂肪組織におけるマクロファージを中心とした慢性炎症が関与している。過栄養などのストレスにより機能障害を起こした細胞から遊離するダメージ関連分子パターンの刺激を介した自然免疫活性化は、慢性炎症疾患の病態として重要な役割を果たす。しかし、肥満や動脈硬化症を含む生活習慣病の発症において、核酸断片の分解・認識による自然免疫機構の関与については詳細な検討はなされておらず未解明である。これまでにインスリン抵抗性と血中遊離核酸断片との関連が示唆されていることから、本研究は、インスリン抵抗性発現と核酸分解酵素DNaseを含めた核酸分解・認識機構との関係に注目して研究を進めた。 in vivo実験においては、脂肪組織肥大化が内臓脂肪組織局所と全身のNaseⅠ・Ⅱ活性化へ与える影響を検討した。食事誘導性肥満マウスは通常食マウスに比べて血中DNaseI活性が増強しており、高インスリン血症や内臓脂肪組織の炎症性質増強とDNaseⅠ活性の変化との関連が見いだした。in vitro実験においては、マクロファージ細胞株に対して、TLRアゴニストであるCpG-ODN、Poly:ICや、細胞内DNA認識後のセカンドメッセンジャーであるcGAMPによる刺激を与えると、Three Prime Repair Exonuclease 1(TREX1)のmRNA発現を促進することを見出した。以上から、インスリン抵抗性とマクロファージを介した炎症性質の発現に複数の核酸認識・分解機構が関与する可能性が示唆された。
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