2021 Fiscal Year Research-status Report
勤労者の健康や労働生産性への効果を最適化する1日の過ごし方とは?
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20K19701
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Research Institution | Physical Fitness Research Institute, Meiji Yasuda Life Foundation of Health and Welfare |
Principal Investigator |
北濃 成樹 公益財団法人明治安田厚生事業団体力医学研究所, その他部局等, 研究員(移行) (20762206)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 身体活動 / 座位 / 睡眠 / 加速度計 / 産業衛生 / 疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は課題1(1日の行動バランスと健康や労働生産性の縦断的関連性)に関して以下の①~③を実施した。 ①追跡データの収集:今年度約800件のデータをコホートに追加した。これにより分析対象者は約4800名まで蓄積された。ただし、メタボリックシンドロームなどの「発症」をアウトカムにするには依然として十分な数・追跡年数ではないため、引き続きデータ収集を継続する。 ②研究対象者確保のための取組み:次年度から新たに、総合健康保険組合の加入者(約3000名)を対象に研究参加(加速度計の装着)を依頼できるよう調整を行っており、新規参加者の大幅拡大が期待される。 ③論文執筆:横断データを使用して「オフィスワーカーにおけるドメイン別の身体活動・座位行動と心血管リスク因子の関連性」についての論文を執筆した。本論文から、オフィスワーカーの勤労者の心血管リスク因子(腹囲、血圧、糖・脂質代謝)と関連性が強いのは、仕事中ではなく、平日余暇(仕事以外の時間帯)の行動であることを明らかにした。具体的には、余暇の座位行動を減らして低強度身体活動時間を増やすことが、心血管リスク因子の良好な値と関連した。一方、中高強度身体活動は主に脂質代謝マーカと強く関連した。また、興味深いことに、低強度身体活動は余暇では低い血圧と関連したのに対して、仕事中は高い血圧と関連した。これらの成果は、オフィスワーカーでは、余暇とは異なり、仕事中の身体活動は必ずしも良好な身体的健康と関連しない可能性がることを示唆している。つまり、心身の健康を最適化させる1日の行動バランスを考えた際には、余暇の身体活動に比重を置く必要がある可能性がある。なお、本論文はScandinavian Journal of Medicine & Science In Sportsに掲載され、所属機関HPや外部WEBサイトを通じてプレスリリースを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題1の研究データが比較的順調に集まっているため。また、横断データを使った研究成果の公表(論文投稿、プレスリリース)を行うことができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
課題1のサンプルサイズを拡大するため、総合健康保険組合の加入者(約3000名)に研究参加(加速度計の装着)を依頼できないかフィールド先と調整を行っている。これにより、新規参加者の大幅拡大が期待される。さらに、追跡できなかった参加者のアウトカム(健診や問診票)データを、対象者が加入する健保から直接提供してもらないか調整を進める。これにより、追跡の失敗による欠測を減らすことができると考えている。また、課題2の研究フィールド(企業)の募集を始めるが、新型コロナウィルスによるパンデミックの影響もあり、難航することが予想される。
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Causes of Carryover |
故障した加速度計の補填を予定していたが、現在保有している数で当該研究を運営できることがわかったため補填購入しなかった。また、新型コロナウィルスの拡大に伴い、予定していたデータ検討会や国際学会が延期されたため。
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Research Products
(3 results)