2021 Fiscal Year Research-status Report
慢性高インスリン血症の適切な評価法の確立と本邦2型糖尿病の再分類
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20K19706
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
松林 泰弘 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (50793890)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 2型糖尿病 / 脂肪肝 / メタボリックシンドローム / MAFLD |
Outline of Annual Research Achievements |
1、日本人2型糖尿病は複数のクラスターとして細分類化できるのではないか。それぞれの分類における病態、大血管/細小血管合併症発症の特徴を把握することで、個々の病態に適合した診療方針の提案に繋げることができるのではないか。 2、不適切な高インスリン血症が心血管疾患発症に及ぼす影響を定量的に評価できるのか。 上記テーマに関し、検討に用いる医療ビッグデータベースとして、レセプトデータを使用し、データベースの構築が完了した。 インスリン抵抗性を背景とした慢性高インスリン血症の存在を強く反映する一つの疾患カテゴリーとして、近年報告された、Metabolic dysfunction-associated fatty liver disease (MAFLD)に注目。同時に類似した病態カテゴリーとして従来から存在するメタボリックシンドローム(MetS)の定義と組み合わせることで、2型糖尿病患者を分類したところ、MetSが比較的幅広い病態の動脈硬化性疾患リスクを拾ってくるのに対し、MAFLDはよりインスリン抵抗性関連の病態に特化したリスクを拾ってくる結果であった。 以上より、MetSの有無、MAFLDの有無で2型糖尿病患者を層別化したところ、冠動脈疾患、脳血管疾患発症において、群間で発症リスクに差が認められた。特に2型糖尿病患者においては、従来のMetSに比し、MAFLDの概念を用いることが大血管合併症発症のhigh risk群の同定には有用である可能性が示唆される結果が得られた。 現在、これらの結果に関連する更なる検討を進めるとともに、学会、論文での発表に向けて結果のまとめ作業も進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の流行にあり、医師としての診療業務にかけるエフォートが増加し、研究に割り当てられるエフォートが低下したこと、並びに情報収集や研究推進に関連する会議等にも支障がでたことにより、申請当初の予定よりやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の内容で一定の研究成果を挙げることができているため、今後はそれらの成果を学会、論文発表という形でまとめる作業を進めていく予定である。同時に、現時点までに得られた結果をもとに、メタボリックシンドロームと脂肪肝の有無に注目したより最適な2型糖尿病患者の分類につき検討を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
前述の理由にて研究の進行に遅延が生じ、研究成果を学会・論文発表という形でまとめるのが遅くなってしまった為、次年度使用額が生じてしまった。現在、これらのまとめの作業を進めているところであり、学会発表、並びに論文の作成・発表等で費用が必要となり、これらに予算を使用予定である。また、現時点までに得られている結果をもとに更なる検討を進めていく予定であり、それらに必要な経費(データベースのアップデートや、解析に必要な物品等の購入費)としても使用予定である。
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