2020 Fiscal Year Research-status Report

失禁予防の基盤となる骨盤周囲筋に特異的な筋再生制御メカニズムの解明

Research Project

Project/Area Number	20K19711
Research Institution	Foundation for Biomedical Research and Innovation at Kobe
Principal Investigator	吉岡潔志公益財団法人神戸医療産業都市推進機構, その他部局等, 研究員(研究員・PDクラス) (10857262)
Project Period (FY)	2020-04-01 – 2023-03-31
Keywords	骨盤底筋 / 筋萎縮 / 筋再生 / メンズヘルス / 排泄制御
Outline of Annual Research Achievements	本研究の目的は，排泄コントロールに深く関与している骨盤底筋群の筋再生の特徴を，特に四肢筋との違いに着目し明らかにすることである。まずは筋の可塑性について，四肢筋と骨盤底の筋を比較した．マウスの直腸を囲むように存在している球海綿体筋や肛門挙筋は，四肢筋と比べアンドロゲンの感受性が高く，アンドロゲンシグナルの低下により顕著に萎縮することが知られている．この特徴が排泄制御に関与する他の筋にも共通するものかを検証するため，去勢術によるアンドロゲン低下モデルマウスを調べたところ，球海綿体筋や肛門挙筋だけでなく，尿道壁を構成する尿道括約筋も，術後２週間で顕著に萎縮していることが明らかとなった．一方で，四肢筋では筋萎縮がみられず，排泄コントロールに関与する筋は，四肢筋とは異なる制御により筋量を保っていることが示唆された．成熟した身体内の筋再生は，筋組織幹細胞であるサテライト細胞が新たな筋を形成することで実現する．そこで，四肢筋と骨盤底筋で見られたアンドロゲン感受性の違いが，それぞれのサテライト細胞による筋形成においても見られるか否かを検証した．四肢筋由来サテライト細胞と骨盤底筋由来サテライト細胞を単離し，雄，去勢した雄，雌の３種類のマウスの前脛骨筋をホストとして移植した．骨盤底筋由来サテライト細胞は，去勢した雄，及び雌の前脛骨筋においてごく小さな筋線維しか形成することができず，ホストの影響は四肢筋由来サテライト細胞よりも有意に大きかった．このことは，四肢筋と骨盤底筋で筋再生制御が異なることを示唆するだけでなく，一度獲得した身体部位単位での筋特性は強固に保持されることを示すものである．
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned. Reason 去勢によるアンドロゲン低下モデルマウスを用いた，骨盤底筋由来サテライト細胞の異所性移植の結果を論文として発表した．K. Yoshioka, Y. Kitajima, D. Seko, Y. Tsuchiya, Y. Ono, The body region specificity in murine models of muscle regeneration and atrophy, Acta Physiol. 231 (2020) 1-9. 本研究を効率的に行うために，マウスの骨盤底筋など，ごく少量の骨格筋からサテライト細胞を単離する必要があった．そこで，古典的pre-platingを改良したサテライト細胞単離方法を確立し，以下のように論文発表した．K. Yoshioka, Y. Kitajima, N. Okazaki, K. Chiba, A. Yonekura, Y. Ono, A Modified Pre-plating Method for High-Yield and High-Purity Muscle Stem Cell Isolation From Human/Mouse Skeletal Muscle Tissues, Front. Cell Dev. Biol. 8 (2020) 1-7.
Strategy for Future Research Activity	独自に確立したサテライト細胞単離法を用いて，骨盤底筋及び四肢筋由来の培養サテライト細胞を用いた検証に着手する．