2022 Fiscal Year Annual Research Report
海外の高所観光地に滞在する旅行者の高山病対策に関する研究
Project/Area Number |
20K19718
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
栗田 直 東京医科大学, 医学部, 兼任助教 (60532306)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高山病 / 海外渡航 / 海外高所 / 高所観光地 / トラベルクリニック |
Outline of Annual Research Achievements |
海外の高所観光地に滞在する旅行者が増加している。高所には高山病のリスクがあるため、旅行前のトラベルクリニック受診等により、高山病の知識を得るとともに、持病対策や予防薬の処方が必要とされるが、準備なく出発する旅行者も多い。本研究では、①海外高所観光地への旅行予定の者、②過去に旅行経験のある者、③トラベルクリニック、④海外高所観光を扱う旅行者を対象に、高山病対策の現状と問題点に関する調査を計画した。目的は、この結果を踏まえた、旅行者への情報提供や注意喚起である。本研究により、日本からの海外高所滞在者が、安全な旅行が可能な体制を構築できるものと考えた。 2020年度は、2019年度に実施したプレ調査で高所渡航者の多かった7か国の滞在経験者に焦点を当て、インターネット調査会社を介し、20~70歳代の男女360人を対象に高山病対策に関する追加調査を実施した。回答者の4割以上は高所滞在期間が高度順応の困難な短期スケジュールで滞在をしており、中には持病を持つ者もいた。現地で高山病になった者は4割以上いたものの、渡航前や滞在中の対策は不十分であることが明らかになった。 2021年度から2022年度にかけ、新型コロナウイルス感染症の流行により、海外渡航が困難な状況が続き、予定していた③トラベルクリニック対象調査実施を達成することができなかった。 2022年度は、2020年度までの調査について日本渡航医学会雑誌へ2022年3月に原著論文の投稿を果たした。また、2022年6月には、調査に関して日本登山医学会学術集会にて演題発表をした。さらに2022年12月には、「海外の高所へ行く方へ」という題名で、海外の高所渡航を控えた方向けに、高山病や感染症を含めた医療安全対策のための情報冊子を作成し、トラベルクリニックや東京都内の高所トレーニング施設に設置し、配布した。
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