2021 Fiscal Year Research-status Report
睡眠-覚醒リズムの変動による健康影響に対して脆弱性を規定する食生活要因の解明
Project/Area Number |
20K19720
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
吉崎 貴大 東洋大学, 食環境科学部, 准教授 (50732830)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 時間栄養学 / 睡眠覚醒リズム / アクチグラフ / 血糖変動 / 食事 |
Outline of Annual Research Achievements |
渡航時の時差や夜勤を伴う交代制勤務への曝露に限らず、学校や仕事などの社会的時間制約による活動-休息リズムの変動によっても、体内時計との乖離状態が生じる。この乖離状態は食生活や心身の健康問題と関連する可能性が報告されている。しかし、日々の活動-休息、食生活あるいは血糖変動の24時間のパターンの類似性がそれぞれ独立に、抑うつ症状と関連するか否かを検討した報告はない。そこで、本研究では健康な若年成人を対象に、その関連性を明らかにすることを目的とした。健康な若年者87名を対象とし、横断研究を実施した。日常生活条件下において7日間のアクチグラフとフラッシュグルコースモニタリングのセンサーの装着を対象者に依頼した。さらに、睡眠日誌、食事記録および食事歴法質問票、さらには基本特性や抑うつ症状に関わる質問票への回答を依頼した。活動-休息、エネルギー摂取量、および血糖変動のデータについて、inter-daily stability(IS)を算出した。ISは0から1の範囲の値をとり、値が高いほど日々の24時間のパターンに類似性があることを示す。抑うつ症状の評価には、CES-DあるいはPOMSから算出した得点を用いた。多変量解析では、CES-DあるいはPOMS-DDの得点を従属変数とし、7日間の活動-休息パターンのIS、血糖変動のIS、性別、夜勤のアルバイトの有無、飲酒習慣を独立変数とした。その結果、CES-DあるいはPOMS-DDの得点を従属変数としたいずれかの解析においても、活動-休息パターンのISは抑うつ症状と有意な関連を示し、日々の類似性が低い者ほど抑うつ症状が高かった。一方、血糖変動のISはCES-DとPOMS-DDと有意な関連はみられなかった。これらの結果から、心身の健康の維持増進の手がかりとして、日々の活動-休息パターンを規則的に保つことの重要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
活動-休息および睡眠覚醒パターンの類似性の算出、さらには血糖変動の24時間周期の成分および短時間周期の成分の抽出のため、データ処理等に多くの時間を費やした。睡眠-覚醒パターンの類似性と血糖変動との関連についての解析はほぼ終了し、国際学会での発表を予定しているが、論文化にはまだ至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
活動-休息パターンの類似性については必ずしも介入対象とならないため、今年度にみられた関連について、特に食事の質あるいは食事のタイミングに焦点を当てながら、異質性の探索を行う予定である。得られた成果は適宜、学会や学術雑誌にて報告する。
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Causes of Carryover |
投稿中の論文の掲載料として予算を計上していたが、2021年度中の受理とならなかったために残額が生じた。この残額については、次年度に該当の論文が受理された際に使用する。
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