2020 Fiscal Year Research-status Report
妊婦の鉄栄養状態と鉄摂取量の関係解明~鉄代謝調節因子「ヘプシジン」に着目して~
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20K19723
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
渡辺 優奈 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 助教 (90771072)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 妊婦 / 鉄代謝調節因子 / ヘプシジン / 鉄栄養状態 / 鉄摂取 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、①妊婦における鉄代謝調節因子「ヘプシジン」の状態を明らかにする、②鉄代謝状態(ヘプシジンの値)、鉄栄養状態、鉄摂取量の3者間の関連を検討するとともに、鉄栄養状態(貧血および鉄欠乏)をアウトカムとして、鉄代謝状態を調整したときの鉄摂取量を検討することにより、妊婦に対する適切な鉄摂取についての提案の目指すことである。本研究の研究期間は令和2年4月~令和4年3月までの3年間としており、令和2年度は本研究の開始年度にあたる。 研究を開始するにあたり、まず調査実施に同意する病院の産婦人科もしくは産科クリニック(協力施設)の選定と、調査票等の作成を予定していた。さらに倫理委員会での承認を得た後、令和2年度中に調査を開始する予定としていた。しかし、新型コロナウィルス感染症の感染拡大状況の影響により、候補施設はあるものの協力の内諾を得ることができず調査の開始が遅れている。また調査方法の再検討が必要となったため、令和2年度中には研究環境の整備および質問紙調査の準備を進めた。 当初の予定では食事調査および質問紙調査を紙媒体により実施、記入後ただちに対面で記入の確認をすることとしていたが、これについてはWEB上での実施とし、できる限り対象者と調査者が対面する機会と時間を削減することを検討している。現時点では、ノートパソコンの使用環境を整え、WEBアンケートをとることのできるいくつかのアプリケーションの使用を試みた。その結果、紙媒体での実施よりも対象者への負担とリスクを軽減して調査を実施することができることを確認できた。今後この調査方法を導入しての実施を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度は本研究の開始年度にあたり、年度中に調査を開始する予定としていた。しかし、新型コロナウィルス感染症の感染拡大による社会情勢、医療施設への影響や他人との接触制限のため、候補施設はあるものの協力の内諾を得ることができていない。 本研究の対象者は18~49歳の健康な妊婦であり、主要な調査項目であるヘプシジンの測定、一般末梢血検査(赤血球数やヘモグロビン値など)および血液生化学検査(血清鉄、フェリチン、可溶性トランスフェリン受容体)は、採血から得られた血液もしくは血清をサンプルとして測定を行うため、病院の産婦人科や産科クリニックの全面的な理解と協力が不可欠である。現状として、多くの医療施設では家族の面会すら制限される環境にあり、感染対策による医療体制のひっ迫が続いているため、研究協力を得られる施設を確保することが困難であった。また、協力を得ることができていないことに伴い、倫理審査を受けられないため、調査を開始できていない。 しかし、令和2年度中には研究環境の整備および質問紙調査の準備を進めた。さらに妊娠期の鉄栄養状態に関する研究報告の抄読を進めるとともに、これまでに取り組んできている妊婦対象の研究について調査報告を行い、本研究への参考としている。調査をすることができる社会情勢になり次第、協力施設の確保および倫理委員会での承認を受け、調査を開始する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の主要な調査項目はヘプシジンの測定、一般末梢血検査(赤血球数やヘモグロビン値など)および血液生化学検査(血清鉄、フェリチン、可溶性トランスフェリン受容体)であることから、血液もしくは血清サンプルの測定は必要不可欠であるため、これを実施する方針に変更はない。一方で、当初の予定では食事調査および質問紙調査を紙媒体により実施、記入後ただちに対面で記入の確認をすることとしていたが、これについてはWEB上での実施とし、できる限り対象者と調査者が対面する機会と時間を削減することを検討している。WEB上での調査を導入することにより、質問紙の記入不備とそれに伴う調査者による対面での確認時間を削減することができる。その他で対象者への確認事項が生じた場合においても、電話、メール等での非接触式の確認方法とする。また、採血検査のサンプル回収についても施設内に留まらないで受渡しができるよう協力施設と協議することとする。これらの条件において研究への同意が得られる協力施設を確保していく。 もし現在の新型コロナウィルス感染症の感染拡大状況が改善されていかない場合には、対象者の半数程度を妊娠可能年齢の非妊娠女性とし、調査者の所属している大学関係者から協力を募り、優先的に調査を進めることも検討する。妊婦の対象者数を減り、対象者の妊娠期間にばらつきが生じて比較が困難になる可能性も考えられるが、妊婦と非妊娠女性での比較は可能となる。妊娠前の栄養状態が妊娠期に影響することは知られているため、妊婦と非妊娠女性を比較できることは本研究課題の解明に対して有意義なものになると考えられる。今後の状況により実現可能性の高い集団での調査を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の感染拡大状況の影響により、本研究の開始年度であった令和2年度中に調査を開始することができなかった。本研究で受けた研究助成金は多くは採血検査項目の測定に充当する予定であったため、調査中に発生するこの費用を使用しなかった。また、対象者謝金も発生せず、旅費が必要となる対面での打ち合わせも発生しなかったことから、令和2年度に使用予定として計上した予算に余剰ができ、次年度使用が生じた。 今後の使用計画としては、調査を開始し、研究計画に従って主に採血検査項目の測定、食事調査費用および対象者謝金に研究助成金を使用していく予定である。
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