2020 Fiscal Year Research-status Report
定期的な有酸素性運動が高糖質食後の動脈スティフネスに及ぼす影響:運動要素の解明
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20K19724
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
小林 亮太 帝京科学大学, 総合教育センター, 助教 (40803002)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 動脈スティフネス / 有酸素性運動トレーニング / 運動頻度 / 収縮期血圧 / 血糖値 / ブドウ糖経口摂取 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究1 【背景】定期的な有酸素性運動トレーニングの頻度が高糖質食後の動脈スティフネスに及ぼす影響について検討することを目的とした。【方法】18人の健康な高齢者が週2回(T2、9名)および週4回(T4、9名)の運動グループにランダムに割り当てた。全ての参加者は、1セッションごとに30分間、予備心拍数60%の運動強度でウォーキング及びジョギングを実施した。頸動脈-総動脈(cf)、上腕-足首(ba)及び心臓-上腕(hb)の脈波伝播速度(PWV)及び血糖値は介入前、介入4及び8週間後に、実験室にて、25gのブドウ糖溶液経口摂取前、摂取30、60及び90分後に測定した。【結果】T2グループのbaPWVは、介入前、介入4及び8週間後において摂取前と比較して摂取後に増大した。T4グループのbaPWVは介入前及び介入4週間後において摂取前と比較して摂取後に増大したが、介入8週間後において摂取前と比較して摂取後に変化しなかった。両グループのhbPWVは介入前後に変化しなかった。T2グループのcfPWVは介入前、介入4及び8週間後において摂取前と比較して摂取後に低下した。T4グループのcfPWVは介入前において摂取前と比較して摂取後に低下したが、介入4及び8週間後において摂取前と比較して摂取後に変化しなかった。T2グループの血糖値は、介入前、介入4及び8週間後において、摂取前と比較して摂取30及び60分後に上昇した。T4グループの血糖値は、介入前及び介入4週間後において、摂取前と比較して摂取30及び60分後に上昇し、介入8週間後において、摂取前と比較して摂取30分後に上昇した。介入8週間後における摂取30分後の血糖値は、T2グループと比較してT4グループで低値を示した。【結論】頻繁な有酸素性運動トレーニングは高糖質食摂取後の血糖値上昇に伴う動脈スティフネスの増大を抑制する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画通りのデータの取得ができ、問題なく進めることができています。 また、本研究成果は国外論文に投稿中であり、さらに、得られたデータを国外・国内学会を通して、発表する予定であり、外部への公表の準備もできています。 現在は、次の研究に向けて準備をしています。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度における研究では、中高齢者を対象に有酸素性運動トレーニングの頻度が多いことが高糖質食後の動脈スティフネス増大を抑制させることを明らかにしたが、運動強度は中強度のみで実施したことから低強度の効果を検討する必要がある。さらに、最近、厚生労働省は10分程度の身体活動を1日に数回行う程度でも健康上の効果があると推奨しており、動脈スティフネスは低下(Zheng et al. 2015)、食後の血糖値上昇は抑制できる(Holmstrup et al. 2014)ことが報告されている。本研究は、高糖質食後の動脈スティフネス増大の抑制に日常生活における断続的な身体活動が関与するか否か明らかにする初めての研究であり、国民の動脈硬化症の予防に繋がる臨床的意義が非常に大きい研究であると考えられる。 したがって、2021年度の研究では、有酸素性運動トレーニングの強度及び間欠的な有酸素性運動トレーニングを行うことで、高糖質食後の動脈スティフネス増大を抑制できるか否かを明らかにする予定である。
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