2021 Fiscal Year Research-status Report
Effects of barefoot walking on postual sway and cardiac autonomic function
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20K19726
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
金子 潤 中京大学, 体育研究所, 特任研究員 (60720810)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 裸足 / 歩行 / 森林 / 自律神経機能 / バランス能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、屋外を「はだし」で歩くことの効果について足型、立位姿勢、自律神経機能の変化から検証している。新型コロナウイルス流行の中、多くの人を集めての計測は困難であった。そのため、「はだし」で歩くことが可能なトレイルを森林内に効果を検証しながら作成を続けた。 効果検証の指標としては、歩行前後の足裏接地状態や足趾の開排、開眼片足立ち、アンケートを用いた。効果検証の対象は、トレイル作りの協力者24名およびトレイル利用者37名であった。 「はだし」歩行前後で、足趾の開排が大きくなる(母趾外反角、小趾内反角の減少)が傾向が見られ、開眼方足立ちの持続時間が延長する傾向にあったが、個人差が大きかった。また、普段から公園などの屋外ではだしになる経験がある者と経験が全くない者では、路面状態に対する感覚が全く異なることがわかった。トレイル利用者は「はだし」なる経験がほとんどなく、「すごく痛い」、「石の上が痛い」と痛みを表現することが多かった。そこで、トレイル利用者に対して唾液アミラーゼを歩行前後で計測した。歩行後に低下する傾向にあったが、個別にみると痛みを感じる者は計測値が上昇しており、トレイル作りの協力者たちは「心地良い場所」と認識していたが、参加者の状況によっては「痛い場所」として足裏への刺激が強すぎることがわかった。 痛みを感じるということは、感覚器官としての足を認識できたということでもある。しかしながら、ストレス解消の手段として森林内での「はだし」歩行を検証するためには、はだし経験の無い人々に対しても「心地良い場所」にする必要があることがわかった。刺激に対する個人差に対応するため、トレイルの入口は土が柔らかく、足裏に優しい地面となるように道作りの方向性を修正し、作業を進めることとしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度も新型コロナウイルス流行の影響を受け予定通り計測を実施することは困難であった。計画当初はアスファルト等の人工的な路面の上を歩くことを考えていたが、研究の知見を広く一般化するためには、公園等の土の地面がある場所の方が「はだし」になりやすい。まずは、本年度から開始した森林内に、足裏の接地状態や片足立ちといった簡易指標を用いてトレイルを作りながら検証することを次年度も進めつつ、より詳細に自律神経機能や立位姿勢を評価すること、さらにはストレス評価の新たな指標として心理的アンケートを取得することも検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨今の社会情勢の状況下の中で研究を少しでも進めるため、当初の研究計画を変更して、森林を活用した「はだし」歩行のフィールド作り先に進めることになった。この中で見えてきたことは「はだし」で森を歩くことは「森づくり」に繋がるということである。この視点を持つことで「はだし」や「健康」だけではなく、気候変動や地球温暖化といった環境問題・社会課題とも関連し、「土壌」「生態系」「大地の再生」「菌類」「木々のコミュニケーション」など幅広いテーマと繋がっていくことがわかった。はだしで森を歩くことは足の裏の視点に立つことである。森や、自然を自分ごととして捉えることで地面の上、さらには地面の中の見えない部分(地下土壌や空気、水の流れ、微生物など)にも肌感覚を持って想像力を膨らますことができる。 「はだし」歩行は人間の健康づくりに役立つだけでなく、大地の健康づくりにも関連する可能性があると言える。幅広い視点に立ち、次年度は「はだし」で歩く路面の検証を進めつつ、社会情勢を鑑みながら計測を少しでも進める予定である。
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Causes of Carryover |
本年度も新型コロナウイルス流行の影響を受け計画通りに研究を進めることが困難であった。そのため、計測に関わる経費の支出がほとんど生じなかった。次年度は社会情勢を鑑みながら計測を実施することを念頭に計測に関する費用を繰越すこととした。また、「はだし」で歩くトレイルの効果検証として足形状の変化を詳細に計測するため3Dスキャナーの購入を検討している。
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