2020 Fiscal Year Research-status Report
胎生初期低栄養ストレスと閉経後高度肥満ならびに非アルコール性脂肪性肝疾患の関連
Project/Area Number |
20K19727
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Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
木村 智子 京都橘大学, 健康科学部, 専任講師 (00449852)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 胎生期低栄養 / メタボリックシンドローム / 肥満 / 非アルコール性脂肪性肝疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠5.5~11.5日のWistarラットの給餌量を対照群の40%に制限した低栄養群と対照群の産仔において、生後12週齢で卵巣摘出術(OVX)もしくは偽手術(sham)を行い、対照OVX群、対照sham群、低栄養OVX群、低栄養sham群の4群を作成した。これら4群が34週齢(術後24週齢)になった時点において、他の3群にくらべ低栄養OVX群が有意に高体重かつ腹部内臓脂肪の蓄積も高度となっており、高度肥満に陥っていた。このことから、胎生初期の低栄養環境とその後の生育環境とのミスマッチに閉経というイベントが重複することにより、メタボリックシンドロームを含む高度肥満のリスクが高くなることが示唆された。さらに、術後12週・24週時に肝臓を採取し脂肪蓄積度について形態学的解析を行うとともに、血液サンプルを用いて生化学的解析を行った。その結果、低栄養OVX群の肝表面所見としては著明な点状の黄白斑が確認されるとともに、肝臓の凍結切片によるオイルレッドO 染色により過剰に脂肪滴が蓄積していることが明らかとなった。また、血糖値ならびに血中コレステロールや中性脂肪は正常範囲内であったが、肝細胞内に中性脂肪が過剰に蓄積されていた。このことから、胎生初期の低栄養暴露により閉経後には非アルコール性脂肪性肝疾患発症のリスクを高めることが示唆された。 現在、妊娠5.5~11.5日のWistarラットの給餌量を対照群の40%に制限した低栄養群と対照群の産仔について、生後12週齢時点で各群から採取した肝臓より肝細胞を単離し、培養実験の条件検討を重ねている。培養のプレ実験としてE2への反応性を確認したところ、両群間で有意差は認められなかったものの、低栄養群の肝細胞はE2を添加しなかった場合の脂肪蓄積量が高い傾向を示し、低栄養群の肝細胞は脂質代謝異常を来すことが示唆された。今後、培養実験の条件検討を確立するとともに、例数を重ね精査していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究における主要な課題である「胎生期における間葉系幹細胞の低栄養ストレス曝露」による影響について、中年期以降の「メタボリックシンドローム関連分子の動向」について解析する上で、表現型の確認に基づいた再現実験などを計画している。この再現実験としての培養実験において、再現手法や実験条件などについての検討にかける時間が、コロナ禍において十分に確保することが困難な状況下にある。現在、実験条件等も定まりつつあることから、精度を高めた実験の遂行が可能となってきており、これまでの進捗状況の遅れを取り戻すべく、新たな研究計画を立て予算内で有益な成果を生み出す努力をしている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行中である培養実験を進めるとともに、糖負荷試験を行いながら胎生初期の低栄養ストレスとNAFLDとの関連性に耐糖能異常関与の有無があるのかを確認する。また、脂質異常に陥る要因を探るべく、血液生化学的検査(血糖、血漿中性脂肪、遊離脂肪酸、インスリン、レプチン、IL-6、TNF-αなど)を実施していく。同時に、4群の術後24週に達したラットより摘出した白色脂肪細胞と肝臓組織について、肥満関連遺伝子であるUCP1~3、レプチン、Aldh1a1などの発現量を解析していくための交配と給餌管理を含む飼育を進める。
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Causes of Carryover |
現在、コロナ禍の影響もあり実験手順の関係上、少々進捗状況に遅れが生じている。そのため、当初予定していた遺伝子発現解析の準備ならびに生化学的解析等を今年度実施することとなった。従って、今年度実施していく研究備品や消耗品購入の必要性がある。また、今回得られた結果についても学会発表等を予定している。従って、今回次年度請求額が生じることとなった。
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