2022 Fiscal Year Research-status Report
胎生初期低栄養ストレスと閉経後高度肥満ならびに非アルコール性脂肪性肝疾患の関連
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20K19727
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Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
木村 智子 京都橘大学, 健康科学部, 准教授 (00449852)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | メタボリックシンドローム / 非アルコール性脂肪性肝疾患 / 腸内細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで胎生期の低栄養ストレス環境と出生後のミスマッチによる影響について、Wistarラットを用いて妊娠5.5~11.5日の母獣に給餌量を対照群の40%に制限した低栄養群と対照群の産仔にOVXを施した胎生期低栄養+閉経モデルにおいて、高度肥満ならびに非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)発症のリスクが高まることが示唆される結果が得られた。さらに、昨年度はこれら動物実験に加えて20歳前後の青年期にある男女を対象とした疫学調査も実施し、本邦で低出生体重児(Low birth weight infant:LBWI)が急増し始めた2000年前後に生まれた男子大学生においては、MSと関連の深い筋機能のうちLBWIは運動耐容能が低下していることが明らかとなった。 今年度は、引き続き動物実験において上記のような表現型を示す要因のひとつに、摂餌量の変化も認められるのか確認したところ、胎生期低栄養+閉経モデルにおいては、摂餌量自体も増加していることが明らかとなっている。また、肥満は炎症性疾患とも捉えられており、脂肪組織そのものが炎症性変化を来すことが知られている。その背景として、アディポサイトカインの産生調整の破綻や脂肪組織へのマクロファージを中心とする免疫担当細胞の浸潤、腸管のバリア機能障害などにより、腸管透過性亢進や腸管腔内の細菌などの宿主への流入を増加させ、脂肪組織や肝臓などエネルギー代謝関連臓器に慢性炎症が生じ、インスリン抵抗性が惹起されると考えられている。 そこで、今後は中年期以降の「MS関連分子の動向」について腸内細菌叢との関連も視野に入れながら、成獣期以降の摂餌形態の変化にも着目しながら解析を重ねるとともに、表現型の確認に基づいた再現実験などを遂行していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度末に立てた新たな研究計画に従って、実験動物を用いた実験研究を進めている状況である。その中で、生後の環境とのミスマッチという観点から、胎生期低栄養環境であった個体が成獣期に摂取する餌の種類や摂餌量などについても調査を重ねるとともに、腸内細菌との関連についても調査すべく、糞便の採取も遂行している状況である。現在、成獣期の飼育中であり、材料採取には至っていないものの、これまでに得られた結果をまとめて、学界発表等を行って行く予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
胎生期低栄養+閉経モデルにおいて、高度肥満に陥っていることを定量的に解析するために、MRI撮影により内臓脂肪量や皮下脂肪量を計測する予定である。また、NAFLDに陥っているか否かを判断するために、肝臓のMRI画像からも定量的に脂肪蓄積度を定量できるか検討を重ねていく予定である。 肥満症患者と非肥満症者では、腸管内の代謝産物量や腸管ホルモン分泌の違いなどが認められており、腸内細菌叢の組成や機能に差異があるとされている。最近の報告では、NAFLD患者やOVXマウスでは、腸内細菌叢の組成が変化していることやOVXマウスでは、脂肪酸代謝に関連する脂質合成関連遺伝子PPAR-γや脂質摂取関連遺伝子VLDLRの発現が上昇し、PPAR-αの発現が低下するなど脂質代謝異常をきたしていることが報告されている。したがって、胎生初期低栄養のラットは、腸内細菌叢の変化を介して閉経後の高度肥満やNAFLDを生じる可能性が考えられる。 そこで今後は、胎生期低栄養に起因する閉経後肥満や糖・脂質代謝異常と腸内細菌の構成や機能との関連の要因を解明するために、胎生期低栄養閉経モデルラットにおける腸内細菌叢の組成や機能を網羅的に解析していくための交配と給餌管理を含む飼育を進めていく。
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Causes of Carryover |
これまでのコロナによる影響に加え研究代表者の体調不良もあり、動物実験について進捗状況の遅れが生じている。また、当初予定していた遺伝子発現解析や生化学的解析等に加え、腸内細菌叢の解析を行っていくために、今年度さらに動物の飼育から実施することとなった。従って、今年度は論文投稿準備のみならず、今年度実施する予定である研究備品や消耗品購入の必要性がある。このような理由から、今回次年度請求額が生じることとなった。
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