2021 Fiscal Year Research-status Report
血管内皮機能に着目した新しいサルコペニア予防に対する栄養教育戦略の創出
Project/Area Number |
20K19730
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Research Institution | Mukogawa Women's University Junior College Division |
Principal Investigator |
横路 三有紀 武庫川女子大学短期大学部, 食生活学科, 講師 (80757188)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ADMA / 高齢者 / サルコペニア / 食品多様性スコア |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は過去の身体測定データを用いて、非対称性ジメチルアルギニン(ADMA)とサルコペニアの関連を解析した。その結果、サルコペニア群は、非サルコペニア群に比し有意に血漿ADMA濃度が高値を示した(P=0.038)。ロジスティック回帰分析の結果、サルコペニアに対する血漿ADMA高値の粗オッズ比は4.57(95%CI 1.82-11.47)であった。年齢、BMI、喫煙、飲酒歴、高血圧薬、脂質異常症薬、低栄養、腎機能で調整したオッズ比は4.45(95%CI 1.13-14.96)であった。さらに高ADMA群は低ADMA群よりも、2年後のSMIの減少量が有意に大きいことが示された(P=0.032)。以上より、高齢者においてADMAはサルコペニアと関連することが示唆され、血漿ADMA高値はサルコペニアを増悪させる可能性が示された。 次に、食品多様性スコアを求める食品群別摂取頻度と血漿ADMA濃度の関連を検討した。その結果、肉類の摂取頻度が多い人ほど血漿ADMA濃度が低い関連が認められた。さらに検証が必要であるが、食生活への介入によって血管内皮機能が維持できる可能性が示唆された。 また、サルコペニア・フレイルと食生活の関連の解析を進めるために、地域で実施した横断調査のデータ(n=2,746)を用いて、フレイルと食品多様性の関連を解析した。その結果、高齢者の食品多様性には独居・同居の差に性差が影響することが明らかとなった。すなわち、独居の高齢男性は同居の高齢男性に比し、有意に食品多様性スコアが低値を示したが(P<0.001)、独居の高齢女性と同居の高齢女性には食品多様性スコアの差は認められなかった。一方、男女ともにフレイルと食品多様性スコアの関連が同居に比し、独居の方が強い関連性が認められた。この結果から、独居高齢者にフォーカスした食生活教育の必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度もコロナ禍の影響を受け、一人暮らし高齢者を対象とした昼食会が実施されなかったため、身体計測会や食事調査を実施することができず、当初計画していた研究を進めることはできなかった。しかし、過去データの解析などによって新しい知見を得ることができたため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度もコロナ以前のように調査を実施することは難しいと予測され、身体計測会、食事調査も限定的になると考えられる。そのため、当初の計画では新たに食事調査をして食事性Na/K比をキーワードにしてインタビュー調査を実施する予定であったが、簡単な調査で求められる食品多様性に変更して、インタビュー調査を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍において身体計測会、食事調査等が未実施であり、さらに昨年度9月から産休、育休を取得したため、次年度使用額が大きく生じた。今年度はインタビュー調査や新たな調査を実施予定であり、今年度の未使用額を使用する予定である。
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