2023 Fiscal Year Research-status Report
血管内皮機能に着目した新しいサルコペニア予防に対する栄養教育戦略の創出
Project/Area Number |
20K19730
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Research Institution | Mukogawa Women's University Junior College Division |
Principal Investigator |
横路 三有紀 武庫川女子大学短期大学部, 食生活学科, 講師 (80757188)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | サルコペニア / フレイル / 血管内皮機能 / 血管機能 / 野菜摂取 / ベジチェック / 高齢者 / 一人暮らし |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、血管内皮機能に着目したサルコペニア予防に対する栄養教育プログラムの開発を目指し、調査研究ならびに栄養教育プログラムの実践評価を実施するものである。昨年度までの調査研究により、地域在住高齢者において血管内皮機能指標(血中ADMA濃度)とサルコペニアが関連すること、血中ADMA濃度に食習慣が影響する可能性、高齢者の中でも一人暮らし高齢者において食事の質(食品多様性スコア)の低下リスクが高いことを明らかにした。 今年度は、一人暮らし高齢者を対象に栄養教育を3か月間実施し、野菜摂取量、食品多様性スコア、行動変容の準備ステージ等の変化の評価する前後比較試験を行った。栄養教育の目標は、野菜摂取量の増加とした。昨年度の解析では、血中ADMA濃度は肉類と関連を示したが、十分なサンプルサイズを有さない横断研究であったため、今回は循環器系機能との関連について十分なエビデンスが認められている野菜摂取量の増加を目的とした。一人暮らし高齢者を対象に、介入前後の身体計測(血管機能含む)、食事調査、手掌による野菜摂取量評価(ベジチェック:カゴメ社)等の計測、毎月1回のベジチェックの測定と野菜摂取を促す栄養指導と資料配布を実施した。すべての計測を完了した9名のデータを解析した結果、野菜摂取量の増加は認められなかったものの、食品多様性スコアは有意に上昇し、野菜摂取に対する準備ステージも改善傾向が認められた。自由記述回答には、「野菜は手間がかかる」「気力がない・時間がない」など食事準備の困難さに関する記述が認められ、食生活改善には栄養指導のみならず、食事を準備する段階への支援の必要性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により調査研究、実践評価が遅れていたが、研究計画を一部変更し、今年度で調査および実践はおおむね完了した。しかし、データ解析や成果発表ができていないため、研究期間を1年延長した。次年度はデータ解析を進め、学会発表ならびに論文化を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
栄養教育プログラムの実践評価のためのデータ収集は完了しているため、次年度はデータ分析を行い、結果をまとめ、学会発表ならびに論文化を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大による研究計画の一部変更、産休・育休の取得による進捗の遅れ等を理由に未使用額が生じている。次年度のデータ解析や研究成果発表に研究費を使用する。また、2024年から所属大学の変更に伴い研究室のセットアップが必要となったため、研究継続に必要な機器備品を購入する予定である。
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Remarks |
2024年2月 武庫川女子大学栄養科学研究所公開シンポジウム ~栄養と健康のサイエンス~特別企画:「高齢者栄養科学部門の活動とコロナ禍における西宮市との共同調査」講師
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