2020 Fiscal Year Research-status Report
ヒトの嗅覚に起因した情動変化に伴う食物嫌悪出現の特徴とメカニズム
Project/Area Number |
20K19733
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Research Institution | Hiroshima Jogakuin University |
Principal Investigator |
石長 孝二郎 広島女学院大学, 人間生活学部, 教授 (80574459)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 食物臭嫌悪 / 香味野菜 / 香辛料 |
Outline of Annual Research Achievements |
香味野菜・香辛料を活用した食物の臭いに対する気分の快・不快の相違. 【目的】食物臭嫌悪対策を考案するため,健常者を対象として,臭いに誘発される食物嫌悪を香味野菜や香辛料を活用することで抑制できるか検討した. 【方法】食材試料として,かれい素焼き,かれい生姜焼き,かれいカレー粉焼きの3種類(各10g)とし,さらに,食材に悪臭であるアンモニアを0.1%と0.5%を1ml散水した試料を作成し,臭いに対する快・不快な気分の状態をビジュアルアナログスケール(Visual Analogue Scale:VAS)で評価した. 【結果】0.1%アンモニア散水の焼魚に対する快・不快の主観的な気分は,カレー粉焼きはVAS得点は54.6点から55.5点と不快な気分にはならなかった.しかし,0.5%アンモニア散水1mlの場合は,素焼きはVAS得点58.8点から47.4点とやや不快な気分になった.カレー粉焼きはVAS得点45.2点から40.7点と不快な気分になった.一方,生姜焼きは,0.5%アンモニア散水1mlにより,VAS得点57.5点から50.6点と快な気分ではなくなったが,快でも不快でもない気分の状態を維持していた. 【考察】初回に悪臭であるアンモニアを0.1%濃度で散水した焼魚に対してカレー粉を加えることで不快な気分の臭いを抑制できる効果が認められていた.しかし,0.5%濃度の悪臭を強めた焼魚ではカレー粉を加えることで不快な気分の臭いを抑制することはできなかった.一方で,香味野菜の生姜は,不快な気分の臭いを多少抑制する効果が考えられた.これらの結果より,香味野菜の生姜や香辛料のカレー粉の不快な気分の臭いの抑制効果は,不快な臭いの強さの程度と香味野菜や香辛料の最適な閾値の関係が存在しているのかも知れないと考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で被験者を集めることが難しいが,少人数であっても観察研究は行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍で被験者を集めて観察研究を行うことが,極めて厳しい環境になっているが,被験者が少人数しか参加できなくても,当初の計画通りに観察研究は進めていき,ヒトの嗅覚に起因した情動変化に伴う食物嫌悪の傾向だけでも掴んでいく.
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Causes of Carryover |
コロナ禍により,学会の中止・延期が多く,旅費の使用がなかった.また,当初計画していた観察研究の被験者の予定人数がコロナ禍により集めることができなかった.それにより,予定経費の使用量が少なかった.ただし,観察研究は被験者が少人数となっても,実施しており,今後も継続して実施に向けて活動を行う.
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Research Products
(2 results)