2021 Fiscal Year Research-status Report
対数領域計算モデルのメモリアクセス回数による能力の比較
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20K19741
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
長尾 篤樹 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 助教 (20802622)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 分岐プログラム / 充足可能性問題 / アルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,分岐プログラムの一回読み制限をさらに緩和した状況下での下界解析の手法を確立することである.分岐プログラムの制限には一回読み以外には幅制限が広く研究され、今年度は幅制限に関する研究成果をあげることができた。 具体的には、決定性幅2分岐プログラムに対する充足可能性問題を従来より高速に解くアルゴリズムを提案した論文が国際英文誌に採択されている。 本研究は分岐プログラムに対する上界を示す結果であり、示された上界から下界(計算モデルの限界)を示す例もあるため、今回の結果から対数領域計算モデルの能力限界が求められないかと期待している。 本研究の期間は三年であるが、二年目を終えた時点で分岐プログラムを入力とする充足可能性問題に対して二つの国際論文誌を出版することができ、多くの知見をえることができた。しかしながら、これらの成果は本研究の主目的であるメモリアクセス回数とは異なる制限に対する結果である。分岐プログラムという対数領域計算モデルが本質的にどういった性質のものなのかを解明するという点では前進しているが、メモリアクセス回数の下でどのような特徴を捉えるべきかという点では目覚ましい進捗があるわけではない。 分岐プログラムの一回読み制限をさらに緩和した二回読み制限に関しての研究成果は世界でもまだ存在していない。その最初の一歩を踏み出すために分岐プログラムの様々な特徴について研究を進めている。本研究実績はその結果であると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メモリアクセス回数に関する制限に関しての結果は生み出せていないが、それ以外の制限に関しては、制限を持つ対数領域計算モデルをある特徴を持つ論理式のクラスに帰着させることに成功した。同様の着眼点をメモリアクセス回数にも応用していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
メモリアクセス回数に関する制限を緩和する手法に関してはまだ結果が出ておらず、関連研究においても同様の手法はまだ提案されていない。2022年度は最終年度でもあるので、何かしらメモリアクセス回数に関する制限を緩和する手法を提案していきたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、予定していた国際会議への参加が行えず、国内でのディスカッションも思うように行えなかった。 2022年度は国際渡航の制限も弱まることが期待され、これまでの研究の遅れを取り戻す気概で積極的に情報収集に励みたい。
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