2023 Fiscal Year Annual Research Report
実計算代数手法に関する効率化と数理科学分野への応用
Project/Area Number |
20K19745
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
深作 亮也 九州大学, 数理学研究院, 助教 (40778924)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | グレブナー基底 / 包括的グレブナー基底系 / 限量子消去 / 因子分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
主に次の二点に取り組むことができた: 1. 包括的グレブナー基底系の表現の簡略化 2. 因子分析モデルへの代数計算の応用 ざっくりと言えば、包括的グレブナー基底系はパラメータを係数に含む多項式イデアルのグレブナー基底であり、代数計算手法における強力な道具の一つである。この道具をもとにした限量子消去においても、包括的グレブナー基底系の表現の簡略化は計算効率化の観点で大きな課題の一つであった。当然、包括的グレブナー基底系の数理統計分野などといった数理科学への応用を目指す場合でも、計算結果を解釈しやすくするためには、包括的グレブナー基底系の表現の簡略化を欠かすことができない。本研究では、パラメータ空間を制約する不等式多項式に関する saturated ideal の計算を用いることによって、パラメータ空間の表現だけでなく、グレブナー基底の表現も簡略になるような手続きを提案できた。 また、因子分析モデルは共通因子・独自因子と呼ばれる潜在変数を含む数理統計モデルであり、多変量データの背後にある原因を探し出すために用いられる。特に、心理学・マーケティング・生命科学・パターン認識などにも応用され、非常に重要な数理統計モデルである。しかし、零以下の独自分散が最尤法で算出されてしまうという、不適解問題と呼ばれる理論的課題がある。本研究では、代数計算に基づく厳密な最尤推定量の候補の算出によってモンテカルロシミュレーションを行なった。なお、この研究結果の一部については国内の研究集会で2022・2023年度に発表したが、2024/03 には論文を投稿した。
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Research Products
(4 results)