2021 Fiscal Year Research-status Report
Data analysis based on combinatorial structures
Project/Area Number |
20K19747
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鮭川 矩義 筑波大学, システム情報系, 助教 (20757710)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 離散構造 / 組合せ構造 / 点過程データ / 非線形時系列 / ランキング / データ解析 / 組合せ最適化 / 整数計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,データ解析に現れる組合せ構造・離散構造のうち,特に,(1)マーク付き点過程データのメディアン計算に現れる多部グラフ構造,(2)データのランキング手法に現れる非巡回有向グラフの構造(ネットワーク構造),(3)コンテナ事前整列問題に現れる,船の到着時刻の時間幅が定義する区間グラフ(組合せ構造)について,モデルとアルゴリズムの両面で,研究を発展させた.それぞれに対する詳細は以下のとおりである. (1)マーク付き点過程の厳密計算のためのモデルにおいて,証明に欠陥があったことを発見し,その欠陥を取り除くための,理論的な仮定の導出,ならびに,同仮定を満たすように任意の問題例を等価な別の問題に変換する前処理アルゴリズムを提案した.さらに,最適化ソルバーを用いずに動く動的計画法に基づく計算アルゴリズムの導出にも成功した.さらに,性能評価をより確実なものにすべく,より多角的な数値実験を行ない,論文としてまとめた.論文は現在投稿中である. (2)社会的選択理論に端を発するデータのランキング手法である,Kemenyの方法に対し,Kemenyの方法によって出力されるデータのランキングが満たす性質を,付随する非巡回有向グラフの性質の観点で調査した.その結果,既存研究で得られていたよりも深い特徴付けを得ることに成功した. (3)コンテナターミナルにおいて船にコンテナを積み込む作業の効率化を考える問題はコンテナ事前整列問題と呼ばれる.この問題に船の到着時刻に関するデータを時間幅として導入して解析すると区間グラフが自然に現れる.この組合せ構造を基盤とする,最適化アルゴリズムを提案し,その部分的な有効性を数値実験によって示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マーク付き点過程データのメディアン計算について確立することが今年度の目標であった.これに対し,計算精度の理論保証(厳密解法となるための条件)を与えることに成功したことに加え,最適化ソルバーを用いずに動作可能な動的計画法に基づくアルゴリズムの開発にも成功した.また,マーク付き点過程データの解析だけでなく,ランキングを表す有向非巡回グラフに対しても,ランキング手法が出力する解の構造への理解を促す結果を得た.この結果はデータ解析一般だけでなく,社会的選択理論への応用もあると考える.以上のことから,おおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
マーク付き点過程データのメディアン計算は,数学的な厳密性が担保されたものの,実際にアルゴリズムを動かしてみると,非常に大規模なデータに対しては実行時間が非現実的な時間となることが予備実験で確認されている.また,同様に,ランキング手法に対しても,構造理解がアルゴリズムの高速化に結び付いていないという課題がある.これらに対して,近似計算の観点から,アルゴリズムの発展を図る.
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