2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K19769
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
古田 潤 京都工芸繊維大学, 電気電子工学系, 助教 (30735767)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | SiC MOSFET / パワー半導体 / トータルドーズ効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年人工衛星の推進方式に電気推進が利用され、電力変換回路の占める割合が増えている。電力変換回路の小型軽量化の方法として、高速動作可能なSiCなどの次世代パワー半導体が注目されている。宇宙空間では多数の放射線が存在するため、放射線による半導体の劣化現象が問題となっている。本研究では放射線による劣化現象であるトータルドーズ効果の影響をSiC MOSFETに対して測定する。 2年目では複数のSiC MOSFETについて測定を行い、トータルドーズ効果の影響に差が存在するかの確認を行った。その結果、planar型のSiC MOSFETではVthの変化が小さく、trench型ではVthの変化が大きい結果となった。trench型はSiCの基板に溝を作ってその中にゲート酸化膜を生成するため、製造工程の難しさが酸化膜の質に影響している可能性がある。 この傾向はα線による照射実験でもガンマ線による照射実験でも同じ結果となった。SiCパワー半導体を用いる場合では素子の選定が重要であり、人工衛星の寿命に大きな差が生じることが推察される。 Vgsを印加するストレスを与えることでVthが増加する経年劣化現象をα線を照射後のMOSFETについて測定を行った。その結果、照射前のMOSFETはほとんど変化のなかったVthが、α線照射後には数秒の電圧印加で0.1V程度変化するようになった。放射線によって欠陥が生じ、経年劣化現象を加速させることが確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まだ詳しい原因についてはわかっていないが、α線照射によって経年劣化現象が加速されることを確認した。本研究の目的であるトータルドーズ効果と経年劣化現象に相関があることを確認した。また、α線による照射実験とガンマ線による照射実験について行い、トータルドーズ効果の傾向が一致することを確認し、α線でもトータルドーズ効果の影響を正しく評価可能であることを確認できたため、
|
Strategy for Future Research Activity |
トータルドーズ効果の影響と経年劣化現象の相関についてより詳細に測定を行う。今のところ照射後に経年劣化現象を測定しているが、トータルドーズ効果の測定では測定時に電圧を印加して測定している。よって経年劣化現象はトータルドーズ効果の測定中にも影響を与えていると推測されるため、その部分についても考慮した測定を行う予定である。また、可能であれば酸化膜の状態について測定する。 また、MOSFETについて追加で新しい種類の素子を購入して同様の測定を行うことで、SiC MOSFETにおける素子間のトータルドーズ効果の影響の違いについてより詳細に調査する。
|