2021 Fiscal Year Research-status Report
グラフと点郡を特徴量とした深層学習による結晶性質予測の高精度化
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20K19805
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐々木 勇和 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (40745147)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | グラフ深層学習 / 点群深層学習 / マテリアルズインフォマティクス / 新物質探索 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の目標は,(1)データ収集と(2)グラフと点群の両方の観点を取り入れた深層学習モデルの構築であった.まず,データ収集においては既存の公開データセットでカバーされていない物質データとして,有機化学研究者と協力し,太陽光電池に関する物質を調査した.太陽光電池はアクセプター材料とドナー材料からその性能が決定する.今回はアクセプターとして実用化が期待されているP2HTに注目し,500件程度の論文を参照し,600件程のデータを収集した. 次に,グラフと点群の両方の観点を取り入れた深層学習モデルでは,様々な既存のグラフ深層学習を適用中である.物質グラフを属性付きグラフとして捉え,物性予測を分類および回帰問題として解くアプローチを試している.一方で,精度が高いモデルを十分に確立できていないため,今後さらなる検討が必要である. 最後に,化学や結晶に関する深層学習のサーベイもさらに進めており,書籍の執筆や結晶成長学会において招待論文を投稿した.深層学習と物質科学の融合研究の注目度は高く,本研究の重要度を示している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目標の一つであるデータ収集は十分に達成できた.また,本研究に興味がある化学および物質科学の研究者が多数おり,研究の協力体制を十分に築くことができ,深層学習にて物性を予測するだけではなく,実際に新たな物質を作成し,その物性を化学実験にて評価可能な準備が整った.招待論文や書籍の執筆を行い,本研究課題の重要性も確認し,広報を十分にすることができた.また,2022年9月に行われる国内会議にて招待講演を行うことも決定している. 深層学習モデルの構築においては,既存モデルの精度確認を実施することができている.そのため,今までの知見をベースとして開発方針を定めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年の研究計画として,グラフと点群の両方の観点を取り入れた技術を開発し,最新技術よりも高精度化を目指す.特に,収集した太陽光電池に関する物質を対象として高精度な予測達成を目指す.深層学習モデルで予測した物質に対して,実際に物質を作成し,実際にどの程度の性能となるかを試す.
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Causes of Carryover |
2021年度の予算において,サーバを購入し利用する予定だったが,クラウドサービスを代用したため,物品費が減少し,その他の予算が増大している.2020年度にコロナの影響により,使用できなかった人件費により差額が生じているが,2021年度分はほぼ計画通りに使用できた. 2022年度まで延長したため,深層学習モデル開発のためのクラウドサービス利用に使う予定である.
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