2020 Fiscal Year Research-status Report
Visualization Based on Hypothesis Ontology
Project/Area Number |
20K19809
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
櫻井 大督 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 准教授 (50772547)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 可視化 / 微分トポロジー / オントロジー / AI |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度では,可視化対象となる幾何オブジェクトの,時空間内での相互位置関係の計算アルゴリズムの第一手として,まずオブジェクト同士の交差を研究した.この交差は,可視化システムの一般的な使われ方に沿って,まず,時空間の物理値分布の場を時空間から物理値への写像とみたとき,またある場に浮かぶ幾何オブジェクトを,そのコンタ(等値面)と見て,行っている.交差とは,異なる2つの場に浮かぶこのような幾何オブジェクトの交差であり,例えば,雲と,それを発生させる渦の交差関係,というものである. 本研究では,このような交差を,数学的には微分トポロジー理論の立場から扱い,交差の様子をコンパクトに表現する方法を開発した.本研究計画では,仮説のオントロジーを,幾何学的に,時空間的な相互位置関係と捉えており,交差はそのベースとなる情報の一つである.特に,時空間の中で交差が発生する位置は,相互位置関係が特異的に変化する場所である.このような特徴を生かし,相互位置関係の計算を効率化する. このような計算は,Reeb space 計算となる.可視化分野で長年未解決の課題であり,一応のアルゴリズムが提案されてはいるが,計算時間や計算誤差がひどく,出力が空になってしまうような状況であった.今回は,そのため,計算時間を効率化したうえで,誤差への対処も,実装の詳細とともに公開する.また,研究の裾野を広げるため,提案手法については共同研究者と様々な応用を始めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は,理論的な扱いについて特に良い前進ができた.特に,相対位置オントロジーに交差が重要な役割を果たすことに気づき,実は可視化分野で長年未解決であったReeb space計算と関連があることが明らかになった.そこで,既存のReeb space のアルゴリズムの問題を色々と解決していった.その意味でも本年度は非常に良い収穫があった. ただし本年度は,コロナにより海外出張が出来なくなったことで,特に実装で個人努力が多くなった.その分,本年度の経費を節約し,令和3年度に効果的に配分することにした.本年度は特に学生リサーチアシスタントを積極的に活用することで,研究した手法の応用分野を開拓している.これには,多目的最適化や,化学分子設計の分野が含まれる. また,これと並行して,本年度の成果のおかげで,関連分野の研究者と様々に情報交換ができた.特に,本成果を核として,九大マス・フォア・インダストリ研究所の全国共同利用予算の支援を受けて研究集会を主催できたことで,特異点論の純粋数学者や,可視化,多目的最適化気象科学者,化学者など,多様な分野の専門家と多対多の情報共有ができた.
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度からは,まず,相対位置のオントロジーの数理モデルを引き続き体系化していくとともに,計算アルゴリズムを開発し,アルゴリズム群を論文化していく.それから,本年度,学生リサーチアシスタントの補助によって開拓した,応用分野でも,着実に成果が生まれており,それらについても論文化を進めていく. まずは,特に相対位置の幾何学的な取り扱いと,計算論的に効率的なデータ構造及びアルゴリズムに注力する.その後,オントロジーの研究開発と実装に移る. コロナ禍によって国際連携が難しくなってしまっていることにも対処しなければならない.理論面は,本テーマについては,遠隔ミーティングでも進めていくことができる.アルゴリズム実装については,これも個人でできるにはできるのだが,本研究従事者と縁の深い海外研究機関などとの連携が,出張ができずにやりにくくなってしまったことは残念である.
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Causes of Carryover |
コロナ禍により出張などが非常に難しくなり,翌年度以降に有効活用する方が合理的であると判断されたため.
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