2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of ultrasonic feedback phased array tactile display
Project/Area Number |
20K19819
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤原 正浩 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任助教 (30825592)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 超音波計測 / アレイ信号処理 / フェーズドアレイ / 音響放射圧 / 外乱補償 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度製作したULFPAT(Ultrasonic feedback phased array tactile display)の試作機に対し、その性能評価結果を触覚分野の国際会議であるWHC2021にて発表(Best Paper Awardを受賞)するとともに、その運用環境拡張のため電磁両立性(EMC)の向上に取り組んだ。ULFPATは皮膚表面上の適切な位置を集束超音波により加圧刺激する装置であるが、その触感提示としての有効性は主にアンケート回答により主観的に評価されてきた。一方で、MRI等で計測される神経活動は客観的な応答として評価でき、また超音波皮膚刺激に対しこれまで得られなかった脳活動が観測される可能性がある。しかし、MRIは電磁場を使用する高感度な計測器であり、十分な電磁両立性を備えた装置でなければ付近に配置できない。本年度はULFPATのベースとなっている超音波フェーズドアレイ装置に対し電磁放射とシールド構造による遮蔽効果について数値シミュレーションにより評価した。 また、ULFPATの主目的である刺激位置の妥当性検証について、異なるアプローチも発見した。皮膚上に集束超音波の焦点を形成し放射圧により加圧する際、皮膚表面の音圧分布が温度分布としてサーモグラフィー・カメラにより観測されることを確認した。得られた温度分布画像と超音波強度の定量的関係については検証中であるが、非常に高い解像度で空間分布が得られることが目視で確認できた。その一方で、皮膚表面の発汗等による温度外乱が存在する場合、ULFPATによる焦点位置検証が妥当であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は製作した試作機の運用環境を拡張するため、電磁両立性の向上に取り組み、数値シミュレーションによって有効なシールド構造を評価した。昨年度の推進方策として挙げていたULFPAT受信部の2次元化には至らなかったが、代わりにサーモグラフィー・カメラによってULFPATの主目的の一部を果たせる可能性を発見した。これにより、これまでの想定よりも容易に皮膚刺激の妥当性を保証する手法について知見が得られた。以上から、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度実施した電磁両立性の向上をさらにすすめ、MR適合性を備えたULFPATの開発を目指す。特に、現行の超音波フェーズドアレイ装置を改造し、2次元送受信アレイを備える試作機を製作し、性能を確認する。またその設計の際は必要に応じ数値シミュレーションを利用し、気温や気流の揺らぎによる音速の変動など、外乱要素に対する計測の頑健性を確認する。
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