2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K19828
|
Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
森川 大輔 富山県立大学, 工学部, 講師 (70709146)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 両耳間時間差 / 両耳間音圧差 / カクテルパーティ効果 / 腹話術効果 / 音像分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、両耳間音圧差・両耳間時間差による音像の分離現象と腹話術効果の相互作用を明らかにするために、両耳間音圧差・両耳間時間差を系統的に操作可能なシステムと同期可能な視覚刺激の呈示方法を検討し、ヘッドマウントディスプレイを用いて聴覚・視覚刺激呈示システムの構築と利用条件の確認を行った。 また、構築した聴覚・視覚刺激システムの利用条件を確認する中で、両耳間音圧差・両耳間時間差の一方と視覚刺激を用いて、音像の分離現象と腹話術効果の相互作用の予備調査を行った。その結果、両耳間音圧差または両耳間時間差による音像の分離は、視覚刺激から大きな影響を受けないことが予想された。そこで、頭部伝達関数によって音像を立体的に呈示し、視覚刺激と音像の知覚位置が近い条件で、両耳間音圧差と両耳間時間差が同時に作用する場合に、音像の分離に視覚が与える影響を主軸に調査することとした。 さらに、調査のベースとして視覚刺激がない条件で、両耳間音圧差と両耳間時間差が同時に作用する際の音像の分離現象について調査を行った。その結果、両耳間音圧差に比べ、両耳間時間差の方が音像の分離現象に大きく貢献していることを明らかにした。また、音像を立体的に呈示し、両耳間音圧差と両耳間時間差を同時に作用させるために必要となる頭部伝達関数の測定方法についても検討を行った。その結果、相反法による頭部伝達関数の高速計測システムについて、SNの改善とシステムの自動化を達成することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画における2020年度の実施内容は、聴覚・視覚刺激呈示システムの構築と、その利用条件の確認であり、計画通りシステムの構築と利用条件の確認を終えた。さらに、利用条件を踏まえて今後の研究にベースとなる実験と、今後の研究に用いる頭部伝達関数の計測方法の改善にも取り組んだ。ただし、利用条件の確認において、規模の大きい聴取実験による評価は行えなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
構築したシステムと、得られた知見に基づいて、分離音像と腹話術効果の相互作用に関する系統的な心理実験を行い、分離した音像に腹話術効果が与える影響を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
研究発表会や国際会議の中止とオンライン化によって、旅費とその他の経費の支出が予算案から大幅に減った。また、人件費を支出する規模の聴取実験とそれに伴う物品の購入を控えた。翌年度は状況を見つつ、研究発表会や国際会議での発表や規模の大きい聴取実験を2020年度分も行うことを計画している。
|