2022 Fiscal Year Annual Research Report
全身運動のための触錯覚による力覚提示装置の開発と応用
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20K19844
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 拓人 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特任助教 (10854036)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 力覚提示 / 疑似力覚 / ハンガー反射 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は本研究で使用する「ハンガー反射」現象を複数の同時に提示した際の特性調査を行った.本研究では全身を使用したVR体験に対する力覚提示を実施する方法として「ハンガー反射」現象を使用する.「ハンガー反射」現象とは頭部への皮膚のせん断変形によって変形方向の力覚を知覚する錯覚現象である.本現象は同様の皮膚変形を頭部以外の部位へ適用することで,頭部以外の部位(手首,肘,腰,膝,足首)などの部位においても同様の力覚を知覚することが確認されている.昨年度は空気袋を用いた圧迫再現によって各部位のハンガー反射を同時に制御するデバイスを開発した.しかし,同時に複数部位へハンガー反射提示することで使用者がどのように力覚を知覚するかは未調査であった.本デバイスを力覚フィードバックへ応用するのであれば,ハンガー反射同時提示によって使用者が同時に複数箇所で力覚を知覚することができれば,応用先が広がる. そこで本年度は複数部位へ同時にハンガー反射を提示し,使用者が各提示部位においてどのように力覚を知覚するかの調査を行った.本実験において実験参加者には左腕の手首及び肘にハンガー反射提示デバイスを装着させ,回内・回外・圧迫の3種類の条件を両部位で組み合わせた9条件を用意しランダムに提示した.参加者は提示された刺激によって,知覚した力覚方向を回内・回外・圧迫(無方向)の3択で回答させた.実験の結果,ほとんどの条件において,正答率(提示方向と回答方向が一致していた割合)がチャンスレートよりも有意に高かった.このことから,ハンガー反射を同時に複数の部位へ提示しても,使用者はそれぞれを独立して知覚することが可能であることが確認された. 今後は開発したデバイスを用いたVR体験への応用を実施していく.デバイス適用による,体験の向上効果を調査することで,本デバイスの適用可能性を探索していく.
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