2020 Fiscal Year Research-status Report
運転自動化システムに対する過信のメカニズム解明と過信抑制HMIの構築
Project/Area Number |
20K19846
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
劉 海龍 名古屋大学, 情報学研究科, 研究員 (00825739)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 信頼校正 / 自動運転 / 人間機械インタラクション / ヒュマンインターフェース / 過信抑制 / 認知過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
レベル3以下の自動運転車両は今後急速に普及が進むことが予想される.しかし,ドライバが自動運転車両の基礎,目的,機能と能力を誤解すると,自動運転車両に対する過信が生じると考えられる.2016年以来,自動運転車両に対して過信したことが原因と考えられる衝突による数件の死亡事故がすでに生じていた.故に,本研究では,レベル1~3の自動運転車両に対して,ドライバの過信を抑制するHMIを構築することを目的とする.
本年度の前半に,人間機械系や心理学の文献調査を行い,DASに対する過信は1)ドライバがDASを信頼している場合,2)DASは運転タスクを維持できていない場合との2つの発生条件で定義されていることが明らめた.そして,過信発生過程のメカニズムの解明のため,人間の認知―判断―行動の仮説モデルを提案した.
本年度の後半に,人間の信頼生成過程を探究するため,提案した仮説モデルに基づいて被験者実験を設計して実行した.ただし,新型コロナウイルスの影響により,計画したドライバと自動運転車両のインタラクション実験を代わりに,屋外で実行できる歩行者と自動運転車両のインタラクション実験を感染防止対策に取り組して行った.ここで,実験における自動運転車両のインタラクション対象が変わっても,人間の信頼生成過程は同じであることが考えられる.被験者実験の結果により,歩行者が自動運転車両に対する信頼を校正するために,自動運転車両の運転意図を理解させ,運転行動を予測させるHMIが必要であることを主観評価データに基づいて示した.そして,実験参加者の自動運転車両に対する注視時間と自動運転車両の運転意図の理解度の間に,相関があることを確認した.つまり,人間の注視行動は,走行意図の理解度を反映する客観的に計測可能な変数の一つであると考えられる.また,交通システムの視点で,自動運転車両に対する人間の信頼校正の重要性を議論した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度では,研究の成果により,研究がやや順調に進めることができた. ただし,愛知県は新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言を数回発令したため,ドライビングシミュレータの構築が遅れになった.
研究の成果として,人間の自動運転車両に対する信頼を校正するために,自動運転車両の運転意図を理解させ,運転行動を予測させるHMIが必要であることを主観評価データに基づいて示した成果がIEEE Intelligent Vehicles Symposium 2021に採択した.そして,人間の自動運転車両に対する注視時間と自動運転車両の運転意図の理解度の関係を分析した結果をHuman factorsジャーナルに投稿し,査読中です.また,交通システムの視点で,自動運転車両に対する人間の信頼校正の重要性を議論した内容をIEEE International Conference on Intelligent Transportation 2021に投稿し,査読中です.
学術活動として,ドライバだけではなく,他の交通参加者が自動運転車両とインタラクションする際に,DASに対する不適切な信頼をどうやって校正するのかに対して,「TRUST CALIBRATION FOR HUMAN-AV INTERACTIONS」ワークショップをIEEE Intelligent Vehicles Symposium - IV2021に提案し,採択しました.人間の信頼生成過程や信頼校正などの話題に対する議論が期待されている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策について、下記のようになる. 1.ドライビングシミュレータのシステムを完成する. 2.人間の注視行動,身体運動からシステムへの信頼を推定する方法を構築する. 3.過信のメカニズムを解明のため,ドライバの視点だけではなく,他の交通参加者が自動運転車両に対する不適切な信頼の要因を被験者実験によって探究する. 4.自動運転車両の意図を伝達するため,情報提示システムを構築する.
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Causes of Carryover |
愛知県は新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言を数回発令したため,ドライビングシミュレータのハードウェアを構築したが,システムが未完成でした.また,同理由で,計画したドライバと自動運転車両のインタラクション実験を実行できず,代わりに他プロジェクトから歩行者と自動運転車両のインタラクション実験データを頂いた.故に,ドライビングシミュレータシステムの構築費用と,本研究での被験者実験を実行するための費用を次年度使用額として生じた. 次年度に,まずドライビングシミュレータシステムを完成して,被験者実験を行う予定です. また,計画通りに,過信抑制HMI用の部品を購入することが必要であると考える.
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