2020 Fiscal Year Research-status Report
Large-area and High-resolution Haptic Display by Controlling Material Deformation using Thermal Projection
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20K19847
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
平木 剛史 筑波大学, 図書館情報メディア系, 助教 (40831326)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ソフトロボティクス / 力覚ディスプレイ / 相転移アクチュエータ / 触覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、主にパウチに封入した低沸点液体の気化膨張を利用する液相-気相転移アクチュエータと、これを用いた力覚ディスプレイについての研究開発に取り組んだ。 まず、弾性変形が可能、かつ小型の構造を持つ液相-気相転移アクチュエータを開発した。ラテックスゴム製のパウチを、低沸点液体の封入まで統合する形で、マイクロナノ技術を応用したウエットプロセスによって作製する手法を新たに構築した。これにより、小型であるにも関わらず、弾性変形により初期の大きさの8.6倍以上に膨張、変形することが可能な液相-気相転移アクチュエータを実現した。 また、液体金属を用いたヒーターを内蔵した小型、かつ高い柔軟性と曲げ耐性を持つ液相-気相転移アクチュエータを開発した。低沸点液体と液体金属ヒーターを、ワイヤーモールド法を用いて袋状構造に封入することで作製する手法を構築した。加えてさまざまなサイズのアクチュエータを用いて発生する力、変位、時間応答を評価し、また1000回曲げても動作することを確認した。 そして、液相-気相転移アクチュエータを用いた力覚ディスプレイについても開発を行った。10 mm角の液相-気相転移アクチュエータとペルチェ素子を指先に装着可能なウェアラブルデバイスの形で構成することで、力覚ディスプレイとして構成した。これにより、エアコンプレッサーやチューブを使わない形で、小型、軽量、かつ柔軟な力覚ディスプレイを実現できた。また、実験による最大出力は約1.5Nであり、従来のウェアラブルな力覚ディスプレイと同等であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究で実現する力覚ディスプレイの基盤技術となる液相-気相転移アクチュエータについて複数の研究開発を行い、国際論文誌2報、国際会議受賞1件を含む多数の成果が得られており、当初の計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
液相-気相転移アクチュエータを用いた力覚ディスプレイに関する研究項目は多くの成果が得られている一方で、レーザー走査型プロジェクタと光吸収素材を用いた振動覚ディスプレイの開発については基盤的な開発にとどまっている。そのため、来年度は本項目について開発を推進し、触覚ディスプレイとしての特性評価まで取り組みたいと考えている。
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Causes of Carryover |
すでに所有している装置や資材を用いた研究について中心的に取り組み、また新型コロナウイルス感染症の影響で旅費支出を伴う情報収集や研究議論・打ち合わせが困難となったため、次年度使用額が生じた。当該研究経費は、当初の申請額よりも交付額が少なかったことから購入が困難となっていた備品の購入資金に充当する予定である。
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