2020 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation of illumination for high presence material appearance in mixed reality
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20K19852
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
山添 崇 成蹊大学, 理工学部, 助教 (00747884)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 質感認知 / 質感 / 認知科学 / MR / 複合現実 / AR / VR / 視覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
複合現実(MR)空間における高臨場感を実現するためにと現実物体と仮想物体の質感認知の比較検討を実施している。ヘッドマウントディスプレイを用いてMR空間における質感観察環境の構築を行なった。観察刺激は、食品サンプルと3Dスキャナーを用いて検討を行なった結果、仮想刺激を作成するには、スキャナーの精度が足りなかったため、単一の3DCGソフトウェアを用いて3Dモデルを製作し、そこから仮想物体は、MR空間にて質感を付与を行い仮想刺激に、現実物体は、3Dプリンターにて出力し現実刺激とした。また液晶ディスプレイとアルミフレームおよびディスプレイ制御ソフトを用いて、拡散度を可変させられる照明を製作した。これにより、MR空間における現実および仮想刺激を用いた質感観察環境の構築が完了した。一方で緊急事態宣言の影響から、被験者を用いた予備実験および評価実験の実施に遅延が生じている。環境構築の過程で判明した視覚情報の基本特性が質感に与える影響の調査も実施し、視覚情報の基本特性が一時記憶に及ぼす影響を評価した。評価の結果、色相、形状および大きさ、呈示位置が、印象に影響を及ぼすことが判明した。そこで本研究課題の刺激において、グレースケールの色彩、刺激の大きさの統一、呈示位置の統一を観察刺激の条件とすることを決定した。視覚情報の基本特性が一時記憶に及ぼす影響に関しては、電子情報通信学会 イメージクオリティ研究会IMQ2020-20にて、その研究成果の口頭発表を行なった。次年度は、観察刺激の選定を完了させ、照明光源の高輝度化を実施するとともに、評価実験の実施を行い、成果の発表を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験刺激と観察機材の構築は、概ね順調である。観察刺激となる実物体とヘッドマウントディスプレイ上に呈示する仮想物体、それぞれのオブジェクトの統制に関しては、当初、食品サンプルの3Dスキャンを行い、実物体と仮想物体の統制を行う予定であったが、3Dスキャナの精度が不足していることが判明し、観察刺激に課題が見つかった。この課題は、マイクロファセットおよびマクロファセットを組み合わせた表面形状をプリミティブな3Dモデルに適応し作成することと、作成された3Dモデルを3Dプリンタを用いて出力することで解決する方法を考案し実行した。これにより、計画当初よりも高精度な質感を再現できることがわかり、実環境、仮想環境ともに当初の計画よりも良い条件で実験環境の構築が進捗している。 また、ヘッドマウントディスプレイを用いて再現される仮想環境の構築も概ね順調である。レンダリングの精度の問題により、仮想環境構築用のアプリケーションをUnityからより高度な質感を再現できるUnreal Engineに変更があったものの、3Dモデルを用いる変更を実施したことで、主観的にリアルに見える観察環境を構築できた。 一方で、予備実験および、評価実験は、被験者を用いるため、緊急事態宣言の影響を大きく受けており、実施に遅延が生じている。現在は、クラスターが発生しないような環境を整備するとともに、実験者、被験者双方がソーシャルディスタンスを取り、感染を防ぎながら、着実かつ高精度な評価データの取得ができる評価実験の環境を構築中である。また実施できた一部の予備実験の結果から、質感オブジェクトの観察に用いる拡散度が可変できる照明の照度が不足することが判明した。 これを受けて、実験に不可欠な日常的な観察環境に近い照明条件とするには、光源の高照度化が必要であり、現在、次照明光源の高照度化を実施に取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
照度不足の問題に関しては、光源となる液晶ディスプレイパネルを現在よりも数倍高輝度なパネルに変更することで、拡散度をフレキシブルに可変させる特徴を維持しながら、高照度化を行い、十分な観察照度である日常的な生活と同等の照度となる照明光源を持つ観察環境に拡充を行う予定である。 予備実験・評価実験の実施に関しては、アルコール消毒の実施、ソーシャルディスタンスの確保、実験モニタリング用のカメラの設置、照明のリモートコントロールなど徹底した感染対策を講じて、被験者・実験者双方が安全かつ安心して予備実験・質感評価実験を実施できる環境を構築を行う予定である。 これらの環境整備を実施の上で、実際に被験者を用いて、拡散度の異なる環境における実物体および仮想物体の質感観察実験に関する予備実験を実施する予定ある。 さらには、予備実験の結果から、変更のあった観察刺激の形状の最終選定を完了させ、評価実験の全条件を確定する予定である。その後、本実験である質感評価実験を十分な被験者数を確保して実施する予定である。また質感評価実験の結果を集計および解析し、研究成果の発表に繋げる予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は、緊急事態宣言の影響により、被験者を用いた予備実験・質感評価実験の実施が計画よりも遅れが生じている。被験者を用いた予備実験の結果受けて判断する項目では、社会的な状況の判断とクラスター対策の実施を行う必要が生じたため、実験環境の構築および刺激の選定、照明光源の選定に遅延が生じており、次年度使用を行う必要が生じている。 次年度は、3Dプリンタを用いた観察刺激の作成のための原材料であるレジン液の購入、実験環境のモニタリングおよび画像解析用画像撮影のためのミラーレス一眼カメラおよびタブレット端末、遠隔操作のためのコンピュータおよびディスプレイ、照明光源用液晶パネルを購入する予定である。
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