2020 Fiscal Year Research-status Report
未観測共通原因が存在するデータからの多変数間因果グラフ推定
Project/Area Number |
20K19872
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
前田 高志ニコラス 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, 特別研究員 (20848361)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 統計的因果探索 |
Outline of Annual Research Achievements |
統計的因果探索とは、介入を伴わずに与えられたデータのみから変数間の因果関係を推定する方法論を研究する領域である。これまで、多くの研究では未観測共通原因の不在が仮定されてきた。しかし、このような仮定をデータが満たすことは稀である。このため、本研究では、未観測共通原因の存在を認めた統計的因果探索の方法論を模索している。 本年度は、因果関係が線形であるようなデータ生成モデルを持つ変数間の因果関係の推定方法を研究してきた。具体的には、既存手法のDIrectLiNGAMという、未観測共通原因の非存在と、因果関係の線形性を仮定した手法を発展させる研究を行なってきた。DirectLiNGAMを含め、これまでの未観測共通原因の存在を仮定しない手法では、全ての変数について因果的順序(順序が若いほど外生的)を決定する手法を用いていたが、これでは未観測共通原因がある場合に、誤った因果グラフを作成してしまう。このため、本研究では各変数の直接的・間接的な原因を探し出し、そのあと間接的な原因を除去するという手法をとった。そして、互いに因果関係が確定できなかった変数ペアについて、それぞれの変数の原因からの影響を取り去った残差が非独立であれば、未観測共通原因を持つ、という原理を用いて、未観測共通原因を持つ変数ペアを同定する手法を構築した。その結果、「未観測共通原因を持つ変数ペアの提示」と「未観測共通原因を持たない変数間の因果関係の提示」という当初目標にしていた内容を達することができた。本研究は人工知能・統計学のトップカンファレンスであるAISTATS2020にも採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目標としていた「因果関係が扇形である場合の因果推定」を実現することができ、国際会議においても報告することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、因果関係が非線形である場合の、未観測共通原因の存在を認めた統計的因果探索の方法論を構築する。また、生命科学への応用についても研究を進める。
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Causes of Carryover |
2020年度の研究実績をジャーナル論文等に発展させるなどの経費が2021年度以降に必要になったため。
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