2023 Fiscal Year Annual Research Report
深層学習を用いた自己-他者間の身体動作対応付けの獲得と模倣モデル
Project/Area Number |
20K19880
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野口 渉 北海道大学, 数理・データサイエンス教育研究センター, 特任助教 (60868082)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 深層学習 / ミラーニューロン / 模倣 / 視点変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度では,感覚運動の経験を通して獲得される身体イメージを自己と他者で共有することによる自己他者身体の対応づけと模倣を実現する深層学習モデルの構築を行った.
前年度までに構築したモデルを,モジュールを共有した2つのパスをもつモデルに拡張した.このモデルを,シミュレーション上のロボットに実装し,前年度と同様な自己ロボット単独の環境での学習において空間座標系および身体イメージを獲得した後,共有パスを追加して他者ロボットと対面した状況での学習を行った.このとき,追加されたパスにおいて,内的に視点を変換することで視覚に映る他者身体に重なるように身体イメージを投射するように,学習が進むことが確認された.さらに,他者の身体姿勢を表す固有感覚を内的に生成し,他者の姿勢と対応させた身体イメージが投射されていることも確認された.いわば内的にミラーニューロンのような神経活動を作り出しており,これを用いて他者の姿勢の模倣も可能となる.なお,これらの学習は,視覚再構築誤差のみを用いた自己教師あり学習の形式で行われ,モデルは全体として,一人称の視覚固有感覚の経験のみから,模倣能力を獲得するに至ることが確認された.
このように,構築した感覚運動の依存関係の学習と共有モジュールの重ね合わせに基づくモデルは,生物が自己の感覚器官を通して得る経験のみから自己と他者の身体姿勢の対応づけと模倣能力,さらに視点変換能力といった社会的認知に関わる能力を獲得可能であることが確認された.本研究では,簡易なシミュレーション環境での検証に止まるものの,提案したモデルのメカニズムおよびシミュレーションによって得られた知見が,社会的認知の発達の基盤的メカニズムの解明に貢献することが期待される.
|
Research Products
(2 results)