2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K19885
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森野 佳生 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (90712737)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 非線形動力学 / 数理工学 / 動的頑健性 |
Outline of Annual Research Achievements |
システムの障害に対する動的な頑健性の理解は実用上重要な問題であり,その為には諸問題に対して動的な頑健性の理論的理解を得ることが重要となる.本研究計画の目的は従来の構造的頑健性や動的な頑健性の研究ではあまり扱われてこなかった多種多様な相互作用を持った系における動的な頑健性の解析に取り組むことで,頑健性の理解を深める追求を行うことである.この目的の為に,多種多様な相互作用を持った系として,[1] 異方性を持つ振動子集団における動的頑健性の解析や, [2] 種々間相互作用系における異方的な種の参入のもとでの頑健性解析を行うと共に,様々な周辺分野にも目を配ることで,その他の相互作用を持った系における動的な頑健性についても研究を進めてきた. 令和2年度は,主に [1] 異方性を持つ振動子集団における動的頑健性の解析について,多種多様な相互作用を持つ系の数理モデルとして結合振動子系で表現し,系を頑健にする要素を明らかにすることを目指して理論的な解析を行った.先行研究により,特定の異方性を持つ興奮性振動子集団からは自発的な振動が生じる為,興奮性振動子は周期性振動子との相互作用では系全体を不活性化し,一方で異方性を持つ興奮性位相振動子間での相互作用では系全体を活性化すると考えられる.故に異方性振動子集団全体として系を頑健にする要素は非自明であり解決すべき重要な課題であった.その為に本研究では,異方性をもつ振動子集団として周期性の位相振動子と興奮性の位相振動子の混合結合系を対象にして,系の結合強度が十分に強い場合における系全体の振る舞いについての理論的な解析などを行った.その結果,系全体での振動が維持される条件に興奮性振動子の持つヘテロ性のパラメータがどのように影響するのかなどを解析することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,[1] 異方性を持つ振動子集団における動的頑健性の解析についての理論的な解析を進めることができた.これにより本課題の目的達成に必要な解析が進みつつある.今後も理論的解析を進めつつ数値解析を合わせて行うことで,異方性を持つ振動子集団における動的頑健性について理解を深めていきたい.上記の理由により,今年度は「おおむね順調に進展している」と自己評価している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方針としては,今年度得られた理論的な解析結果を基盤にして,数値計算などで結果を検証しながら,[1] 異方性を持つ振動子集団における動的頑健性の解析の数理的研究を進めていく.また,[2] 種々間相互作用系における異方的な種の参入のもとでの頑健性解析についても数理的な解析を進めていくことを計画している.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は,新型コロナウイルスの流行の影響により出張計画などに大きな変更が生じた為である.次年度は社会的な情勢をふまえながら,研究活動・研究成果発表に必要な物品費・旅費・その他の費用に使用していく予定である.
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