2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K19887
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小野島 隆之 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (00824757)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 頭皮脳波 / 非線形振動子 / 位相応答曲線 / ニューラルマスモデル / ニューラルネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、予定していた実験とそのデータ解析を延期し、その代わりにカルマンフィルタを用いた脳波位相依存刺激の手法開発と、脳波から振動子としての信号を抽出する手法の構築を実施した。 カルマンフィルタを用いた脳波位相依存刺激の開発では、当初予定していた刺激に対する脳波位相の応答を明らかにするために、より効率てきに視覚刺激を用いた脳波計測実験遂行のための手法の構築に取り組んだ。この手法は、脳波の位相が特定の位相のときを狙って刺激を与える実験手法であり、脳波の状態に依存した刺激に対する応答を明らかにすることが可能となる。また、被験者を募集しての脳波計測実験が困難だったため、脳波データをもとに人工的に脳波信号を生成し、それを用いて手法の検証を実施した。これらの方法はbioRxiv上で公開しており、現在は国際学術誌に投稿中である。更に少数ではあるが、この手法と視覚刺激を用いた脳波計測実験を実施し手法の実用性を確認した。次年度に本格的な脳波計測実験を実施する予定である。 脳波から振動子としての信号を抽出する手法の構築では、振動子のモデルとカルマンフィルタを用いて、脳波データから周期的な信号とその瞬時位相、位相応答曲線を抽出する手法を構築した。そのうえで、数値シミュレーションデータと実データでの検証を実施した。脳波解析に使用するにはさらなる改良と検証が必要であるが、次年度中には論文としてまとめていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、コロナの影響で脳波計測実験をほぼ実施することができなかったため、研究計画を大幅に見直す必要があった。そこで本年度は、次年度実施する実験のための手法の構築と、振動子としての信号を抽出する手法の構築に集中して研究を遂行した。これらの研究に関してはおおむね順調であるが、実施予定の脳波実験が遅れてしまったため、全体としてはやや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では、本年度実施できなかった、視覚刺激を用いた脳波計測実験をと位相依存刺激を用いた実験を実施する予定である。この実験で得られたデータを解析し、脳波位相の刺激に対する応答を検証する。また、本年度実施した振動子モデルとカルマンフィルタを用いた手法の構築を完成させ、論文としてまとめていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
本年度は、計画していた国際会議や国内学会への参加、脳波計測実験の実施をコロナの影響で断念する必要があったため次年度使用額が生じた。次年度に予定していた実験を実施すると共に、現在の状況が完全に回復したのちに、また学会での発表を積極的に実施していきたいと考えている。
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