2020 Fiscal Year Research-status Report
高速路面解析に基づく移動体搭載ビジョンの完全状態把握
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20K19891
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平野 正浩 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (80868638)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高速近接路面解析 / 高速ビジョン / 自動運転 / 先進運転支援システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,高速近接路面解析を用いた移動体搭載ビジョンの姿勢・移動などの状態量の高速・高精度・ロバストな計測手法の実現に向けた,理論的基盤の構築からセンシングシステムの開発,パッケージ化を目指す. 本年度は主に,3次元高速画像処理に基づく理論的基盤の構築を実施した.つまり,移動体搭載の高速ビジョンから撮像した近接路面の画像列から,車両前方近接部にある路面上の移動ベクトル場を推定する手法を提案し,移動中の高速ビジョンの姿勢・移動量をパラメータとしたモデリングを行った上で,イメージセンサの姿勢・移動量によってこのベクトル場が変化することを利用して,高精度な姿勢・移動量推定を実現するアルゴリズムを提案した.特に,推定したベクトル場に混入する系統的なずれを補正するため,一度推定した値を用いてパースの影響を除去しつつ繰り返し最適化を行うことによってずれを補正する仕組みを新たに提案し,さらなる高精度化を実現する手法を提案した. また,実用化を念頭に置いて,M推定と呼ばれるロバスト最適化フレームワークを導入し,画像処理から生じうるアウトライアに対しての頑健性を向上させるとともに,動作可能な速度域を拡大させるための適応的なフレーム選択手法を導入することで,システムの可適用範囲を拡大する理論的整備を行った. さらに,組み込み環境などの限定された計算資源でも動作可能な軽量版のアルゴリズム開発にも着手することで,コスト面での課題解決に向けた方策にも取り組んだ.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスへの対応のため,計画の実施順序の変更を余儀なくされたものの,理論の確立を優先して実施することで,研究課題全体の達成目標を見直すことなく本年度の研究を遂行できた.このため,おおむね順調に進展していると評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに実施した高速近接路面解析の理論的基盤に基づき,高速近接路面センシングに適したアクティブセンシングシステムを構築する.具体的には,近接路面領域を光センシングするための照明系を導入し,ヒストグラム均一化などの画像処理を施した上で,上記の推定に適した画像を生成する.また,赤外域の利用を検討し,車両に実装した場合の高速ビジョンや照明系を含めた配置に関して考察,可視域・赤外域の同時利用も考慮した最適なシステムを構築する. また,構築した高速近接路面解析システムを実装した実車両を用いて,市街地,高速道路,トンネル等の車両が通行しうる様々な環境における計測データ収集を実施,収集した計測データを元にオフライン解析を行い,実用化に向けた課題を整理する.洗い出した課題解決に向けた近接路面解析の精緻化,システム配置などの最適化を行い,実環境での高速・高精度・ロバストな状態推定を実現する.さらに研究成果アピールのため,アルゴリズム全体をモジュール化し,実車両やシミュレーション環境を用いたデモンストレーションを実施する.
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Causes of Carryover |
研究開始当初より新型コロナウイルス感染症が猖獗しており,研究室への滞在時間を極力減らすため,研究の実施順序を変更した.予定では,本年度から必要な機器を導入し,予備実験を並行して高速近接路面解析の理論的基盤の構築を行う予定であったが,既に所有している計算機と実験データを用いた机上での定式化や実装に優先して取り組んだ.このため,高速カメラや実験用計算機といった本課題に向けた実験機材の導入を翌年度に持ち越した. 翌年度は,本年度までに実装したアルゴリズムとの評価・改善に加えて,繰り越していた実験機器の導入を実施し,近接路面の高速・ロバストなセンシングシステム開発を行う予定である.
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