2021 Fiscal Year Research-status Report
微小眼球運動を活用した生体眼-視覚系模倣型ロボットビジョンの開発
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20K19895
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
安川 真輔 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 准教授 (90837973)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 固視微動 / ロボットビジョン / 視覚情報処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は眼球運動によって時間方向に空間的な視覚情報を符号化する装置を開発し、それを応用することで、注視中の対象物の分析能力(例えば空間解像度や両眼装置での奥行精度)の向上を目指している。
昨年度の設計に基づいて眼球固視微動の運動特性を実現する眼-視覚系規範型ロボットビジョンを構成した。本ロボットビジョンシステムはガルバノミラーとレンズ系、フレームレスカメラ、制御装置で構成されている。ガルバノミラーに与える固視微動の一種であるマイクロサッカードを再現するような制御信号を生成するデジタル回路をFPGA(Field Programmable Gate Array)上に設計・実装した。画像センサへの視覚入力の時空間周波数特性を評価したところ、生体眼球系と同様に空間周波数領域の低域成分は均一化され、高域成分が減衰する傾向があり、その一方で時間周波数領域の高域成分が増加することが確認できた。また眼球運動のパラメータを変更しながら、視覚入力の変調特性を検討した所、振幅と速度で時空間特性の変調の程度を制御できることを確認した。この結果から、視野とイメージセンサの解像度、フレームレートを考慮して固視微動のパラメータを調整することによって、センサ単体より視覚入力の情報を取りこぼさず受け取れる可能性が示唆された。
また生体眼球系の視覚入力の変調特性が模擬できたことから、本システムは当初計画していた工学応用としての利用法だけではなく、眼球運動の影響も考慮にいれた生体視覚神経回路を実時間でシミュレーションできるハードウェアとしても有望であることを示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ハードウェア開発は完了し、イメージセンサ単体の特性を超える上で直接関係する, 微小眼球運動による視覚入力の時空間周波数特性の変調機能についても実機で確認できているため、概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通りフレームレスカメラと微動光学系を統合し、提案手法の有用性を示すと共に、生体神経系のモデルを検証する眼-網膜エミュレータへの展開も含めて検討を進める。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの感染拡大の影響で物品調達で遅れが生じており、一年目のハードウェア開発が遅れた影響で、両眼化に向けた検討を行う経費及び国際学会のための海外出張経費がなくなったことが影響しており、最終年度は両眼化検討及び論文投稿費として用いる予定である。
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