2020 Fiscal Year Research-status Report
異なるモダリティの嫌悪対象への選好形成に共通する神経基盤の解明
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20K19906
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川上 愛 大阪大学, 文学研究科, 招へい研究員 (70722007)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 悲しい音楽 / 感情 / アンビバレント |
Outline of Annual Research Achievements |
人間を含む動物では、不快な刺激や感情を回避しようとする嫌悪動因が広く見られる。これは生存の確率を高める上で重要な役割を持つと考えられる。一方、人間の様々な行動で「不快さ」が欲求の対象となる例も散見される。例えば音楽鑑賞では、通常感情心理学においては回避される感情であるところの「悲しみ」を表現する音楽を人々が進んで聴取することがある。 音楽領域の研究では、音楽が表現する感情と聴取者が経験する感情が区別され(Gabrielsson, 2002)、報告者の実験的研究では両者が一致しない状況が確認されている(Kawakamiら, 2013)。すなわち、悲しみを表現する音楽が一方では肯定的な感情を喚起する。こうした悲しい音楽で経験される感情や選好の形成には個人差が存在し、共感性の影響が指摘されている(Vuoskoskiら, 2012)。報告者の研究では、共感性のうち視点取得の能力が悲しい音楽への肯定的感情と選好に寄与することが示された(Kawakami & Katahira, 2015)。 本研究課題では、核心をなす学術的「問い」として「嫌悪対象への選好形成に共通する基盤は存在するのか」を設定し、人を対象とした心理実験及び神経活動計測を行う予定である。 ただし、今年度は、予期せぬ世界的大流行を引き起こしている新型コロナウイルスによる影響で、感染拡大防止の観点から人を集めて実験に参加してもらうこと自体が難しい状況となったため、やむなく来年度に心理実験を実施することになった。 今年度は心理実験で使用する音楽刺激についてバリエーションを増やし、素材を新たに追加作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、今年度は人を対象とした心理実験を行う予定であった。 しかし、世界的大流行を引き起こしている新型コロナウイルスによる影響で、感染拡大防止のため人を集めて実験に参加してもらうこと自体が難しい状況となった。代替案として、こちらで用意した実験室で実験を行うのではなく、在宅で実験に参加してもらうオンラインでの調査も可能性として考えられたが、在宅での調査となると、参加する人によって音楽を聴く環境などを統一することが難しいため、やむなく来年度に心理実験を実施することになった。 したがって、今年度は心理実験で使用する音楽刺激についてバリエーションを増やし、素材を新たに追加作成した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、昨年度作成した音楽刺激を用いて、人を対象とした心理実験を行う。 また、引き続き世界的大流行を引き起こしている新型コロナウイルスによる影響との兼ね合いで、可能であればさらに別の刺激を用いた心理実験も実施する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は、人を対象とした心理実験を実施する予定であり、実験参加者への謝礼を予算として確保していたが、予期せぬ新型コロナウイルス流行により、人を集めての実験を実施することが困難となったため、実験参加者への謝礼の予算を来年度に持ち越すことになった。
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