2021 Fiscal Year Research-status Report
A Constitutive Approach to Social Emotion Differentiation based on Self-Other Discrimination
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20K19907
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
日永田 智絵 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (70807388)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 社会的感情 / 感情モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の情報・工学分野における感情研究では,喜怒哀楽などの基本感情は扱えているが,恥ずかしいや罪悪感などの社会的感情はその難しさ故に扱いきれていない.本研究では心理学や神経科学で提案される感情の概念モデルを基に,計算機上で感情の計算モデルを構築し,ロボットなどの人工物での社会的感情の実現を目指す.社会的感情は社会的環境に大きな影響を受ける.環境には自分と同等の思考能力や内部環境を有する他者の存在があり,自他の分離が基本的感情から社会的感情への発達のキーとなっていると考えられる.本研究では自他の分離を仮定し,人工物の感情空間が複雑化していく様子をシミュレーションし,恥や罪悪感,嫉妬などの社会的感情を人工物の感情空間の中に創発させることを目的としている. 当該年度は前年度から引き続いて先行研究での問題点等の洗い出しならびに社会的感情の文献調査を行い,その結果を学術雑誌へ投稿し採択された.また,前年度COVID-19の影響もあり,自粛していた被験者実験を実施した.本実験は成人を対象としたインタラクション実験となっているため,厳密には幼児からの発達を対象とはしていないが,社会的な文脈により恥などの感情概念について身体内部の感覚である内受容感覚や外受容感覚の共起関係を得ることが期待できる.現在,本データを用いて,モデルの学習を行っている.当該年度はその他に学術雑誌1件,書籍1件,解説記事1件,国内学会1件,招待講演3件,メディア出演4件を行った.また,感情をテーマにしたワークショップ「感情のかけ橋シンポジウム2022」も企画運営した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は前年度実施できなかった被験者実験を実施できたとともに,前年度から実施していた実装のための先行研究での問題点等の洗い出しならびに社会的感情の文献調査の結果を論文としてまとめ,投稿,採録された.以上の理由で前年度課題としていた点に関しておおむね達成できたといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては,被験者実験のデータを用いて,モデル学習を行い検証を進めていく.社会的感情を扱うロボット研究は数が少なく,基本的感情と区別して扱っているロボット研究は調査の結果見つからなかった.すなわち,ロボットのための社会的感情モデルの構築は新規性のある課題である.したがって,既存のロボットシステムとの比較は十分に行えないため,心理学的知見のシミュレーションを行い,モデルの妥当性を示した上で,インタラクション実験のためにロボットおよびagentへの実装を行う.
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Research Products
(5 results)