2022 Fiscal Year Research-status Report
多因子疾患の立体的な層別化に基づく臨床的多様性の詳細な理解の手法の開発
Project/Area Number |
20K19914
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水野 聖士 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 助教 (80646795)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 層別化 / 臨床的多様性 / 妊娠高血圧症候群 / バイオインフォマティクス / 精密医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度に行なった東北メディカル・メガバンク計画三世代コホート調査参加者のうち、妊娠高血圧症候群(HDP)患者約二千名を対象にした、有害アウトカムに関連する特徴を使用したクラスタリングで得たクラスタを詳細に解析したところ、臨床的多様性を説明可能なクラスタが得られなかった。そのため、臨床的多様性に対応する層別化を行うため、以下の解析を実施した。HDP患者の妊娠40週までのすべての妊娠週数の病態が、既存のどの病型分類の定義に当てはまるかを、アメリカ産婦人科学会の病型分類の基準に従い同定した。これにより、HDP患者の妊娠中の病態の経時変化を反映した時系列フェノタイプを得た。得られた、HDP患者の時系列フェノタイプに対して階層的クラスタリングを実施し、得られた階層および病態変化のパターンから、8種類の時系列サブタイプ(temporal-subtype)を見出した。得られたサブタイプの臨床的特徴を解析したところ、最終的に判定される病型が同じでも、病態が変化した妊娠週数、病態が変化してから出産までの時間、HDPの重要なアウトカムの一つである早産や低出生体重の割合が、大きく異なることを示した。病態変化の時期が遅く、病態変化から出産までの期間が短く、低出生体重の割合が多い時系列サブタイプをsevere temporal-subtype、そうでない時系列サブタイプをmild temporal-subtypeとし、得られた8つの時系列サブタイプは、HDPの臨床的多様性を反映していることを示した。また、時系列サブタイプのより詳細な特徴の理解のために、関連する妊娠中の曝露因子を探索し、時系列サブタイプに特徴的な、妊娠早期のいくつかの血液検査項目や生活習慣などの曝露因子を見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度までに行っていた有害アウトカムに関連する特徴を入力にするコミュニティ検出による層別化で、臨床的意義のあるコミュニティが得られなく、妊娠中の病態の変化に基づく層別化に研究方針を変更したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、以下のとおりに推進する予定である。 1. 時系列サブタイプと、既存のHDPの病型分類との間で、HDPの有害アウトカムの予測能の比較。 2. 時系列サブタイプに関連する曝露因子、遺伝因子の組み合わせの同定とそれらの相互作用解析。 3. 遺伝情報と曝露情報の相互情報量を使用し構築したネットワーク上での、相互作用のある因子の背景構造の同定。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍において多くの学会がオンライン開催となり、旅費の支弁ができなかった。来年度は、論文発表のための環境整備、英文校正やオープンアクセス費用の支弁や、ハイブリッド開催など現地とオンラインの両方で開催される学会について積極的に現地参加を行い旅費の使用を行う予定である
|
-
[Book] 革新的AI創薬2022
Author(s)
小長谷 明彦, 水野 聖士
Total Pages
390
Publisher
エヌ・ティー・エス
ISBN
978-4-86043-788-6