2020 Fiscal Year Research-status Report
Construction of stimuli-responsive artificial organelles for molecular robots
Project/Area Number |
20K19918
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 佑介 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (60830560)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 分子ロボティクス / リポソーム / 人工細胞 / 液-液相分離 / DNAナノテクノロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者がこれまでに取り組んできたDNAナノ構造の液-液相分離現象制御技術を応用して,化学反応場として機能する人工オルガネラの構築およびそれらの制御技術と分子ロボットの実装に関する研究を行なった. これまでに確立してきた技術では溶液の温度制御が必要であり,高い温度で機能性分子が変性する可能性があるという問題があった.そこで,まず室温環境で液-液相分離により凝集体を形成可能なDNAナノ構造の配列設計および条件の最適化に取り組んだ.様々な設計を検討した結果,構造の対称性がDNAナノ構造の相分離に顕著な影響を示すことが明らかとなった.そして,溶液条件を最適化することで室温環境でマイクロサイズの相分離凝集体を形成することに成功した. 得られた成果をもとに,人工オルガネラの構築に向けて,相分離凝集体への酵素タンパク質の集積を試みた.いくつかの条件検討の結果,酵素を配列設計したDNAで標識することで配列特異的に任意の酵素をDNAで構成された相分離凝集体へ集積させることに成功した. さらに,人工オルガネラの形成と消失を制御するために,光応答性非天然塩基を組み込んだDNAを新たに設計した.非天然塩基を組み込んだDNAを用いた場合でも,天然塩基の場合と同様に相分離凝集体を形成することができた. そして,分子ロボットへの実装に関する技術については,分子ロボットの筐体となる人工脂質二分子膜小胞内で相分離凝集体を形成することに成功し,人工オルガネラを分子ロボットへ実装するための方法を確立することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
要素技術を確立できたという点では,当初の想定通りの進捗が得られている.一方で,当初の予定では,酵素タンパク質を集積させることで化学反応が大きく促進されることを想定していたが,集積は実現できているものの,反応効率の増加が期待していた値ほど高くないことが明らかとなり実験系の改善が必要であった.また,光応答性非天然塩基については,先行研究で報告されているほどの性能が示されず,こちらも設計の改善が必要であることが明らかとなった.現在,各課題の改善に取り組んでおり,解決の方向性は見えているものの,想定よりもやや遅れている状況である.
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Strategy for Future Research Activity |
要素技術は確立できたものの,それらを応用的に活用する点で当初の計画からの変更が必要であることが明らかとなっている.この問題を解決するため,対象としていた人工オルガネラにおける化学反応の種類と機構を再度設計し直している.また,使用していた非天然塩基についても,異なる種類のものを用いることで問題を克服することを計画している.
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Causes of Carryover |
参加を予定していた国内学会の全てがオンライン開催となった状況ため.繰越額は,研究をより円滑に進めるための物品の購入費に充てることを計画している.
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Research Products
(9 results)