2021 Fiscal Year Research-status Report
耳から動脈硬化を発見:確率ニューラルネットワークを用いた血管内皮機能評価法の提案
Project/Area Number |
20K19920
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
平野 陽豊 静岡大学, 工学部, 助教 (50725679)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 動脈硬化 / 血管内皮 / 簡易検査 / 画像処理 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国の心血管系疾患や脳血管障害等の循環器疾患による死因は全体の約25%に及んでおり,その循環器疾患の主原因は動脈硬化であることが知られている. 動脈は一度硬化が始まると二度と柔らかくはならないが,動脈硬化の初期症状である血管内皮機能障害のステージまでは早期治療により完治することが明らかになっている.そのため血管内皮機能を非侵襲かつ定量的に計測する技術は動脈硬化早期診断のために非常に重要である. 我々の研究グループでは,血管内皮機能を簡便計測するために家庭などに広く普及しているオシロメトリック式自動血圧計の原理を応用した計測法を提案してきたが,動脈硬化は自覚症状のない疾患であるため,動脈硬化の予備者自身に自発的な検査の受診意思がない限り血管内皮機能低下を早期発見することは困難である.そこで,血管を計測する代わりに体表の何らかの情報から血管内皮機能を推定する方法が求められている. 本研究ではカメラを用いて耳朶皺襞(earlobe crease: ELC)と呼ばれる耳朶のしわの長さ,形,占有面積,位置,深さなどの特徴を定量抽出し,それら複数の特徴から確率ニューラルネットワークを用いて血管内皮機能を評価するシステム開発を行う.2年度目では前年に開発したELC抽出アルゴリズムから得られたELCの特徴を基に,血管内皮機能計測を推定するための機械学習モデルについて検討を行った.加えて,システムの操作性向上に係る検討も行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度も前年度に引き続き血管内皮機能を計測するためのシステム開発を行った.ただし,コロナ禍に伴い試作システムを用いた実証実験が遅延しているため,来年度に試作システムを用いた血管内皮機能計測を行い研究を加速させる予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
血管内皮機能計測を推定するための機械学習モデルについて,様々な臨床背景をもつ被験者から耳朶写真の計測を行い,機械学習モデルの推定精度について評価を進める.また臨床応用に向けてシステムのブラッシュアップを行う.
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Causes of Carryover |
前年度から続くコロナ禍に伴い,当初予定していた研究協力者の施設で試作システムを用いた実証実験を再度延期した.そのため当該費用として確保していた旅費,被験者への謝金などを本年度は使用しなかった.翌年度に本年度までに実施予定であった試作システムを用いた実証実験について当初の計画に沿うよう進める予定である.
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