2021 Fiscal Year Research-status Report
社会ネットワーク上の意思表明タイミングに着目した集団意思決定の実証的・理論的研究
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20K19929
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| Research Institution | Rikkyo University |
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Principal Investigator |
伊藤 真利子 立教大学, 人工知能科学研究科, 助教 (80838847)
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| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 集団意思決定 / 逐次的意思決定 / 意思表明タイミング |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本課題の目的は，集団意思決定における人々の意思表明タイミングと意思決定の正確さの関係を解明することである．
本年度は，逐次的意思決定モデルの理論解析を行った．他者の意見を重みづけて集約し意思決定・表明するようなエージェントたちの逐次的意思決定を考え，各個人が自身の正答率を最大化させるための最適重みを調べた．エージェントたちの意見が互いに影響し合うような複雑な状況下でも，単純なアルゴリズムで最適重みを算出し得ることを示した．また，様々な逐次的意思決定に対してそのアルゴリズムを適用し，自身の正答率を最大化させるような意思決定戦略をとるエージェントたちの集団意思決定にはどのような特徴が見られるか調べた．その結果，独立に意思決定をした際の正答率が互いに異なるようなエージェントたちの逐次的意思決定においては，彼らの意思決定の順番が，結果的に表明された意見間の相関の強さや各個人の正答率に著しく影響を与えることがわかった．
また，昨年度に引き続き，集団における人々の意思表明タイミングを調べた先行研究の実験データを分析した．本研究では，意思表明タイミングに見られるバースト性（短時間に多くのイベントが起こる一方で長い時間全くイベントが起こらないような現象）に着目する．意思表明時系列におけるバースト度合いが強いほど集団正答率が高いという傾向を昨年度見つけており，本年度は，このバースト度合いと集団の正答率の関係がどのようなメカニズムによって生み出されるか調べた．その結果，課題に対する各個人の自信の強さが意思表明時系列におけるクラスターの出現に影響を与えていることが示唆された．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論研究と実証分析の双方のアプローチにより，集団意思決定における人々の意思表明の順番や表明間隔の特徴と集団や各個人の正答率の関係を示すことができたため．
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| Strategy for Future Research Activity |
本年度分析した意思表明タイミングに関する実験データについて，意思表明間隔の特徴だけでなく表明内容の違いも考慮した分析を行うために，マーク付き点過程の解析手法を取り入れる．意思表明時系列の特徴をより詳細に捉え，その特徴と集団意思決定の正確さの関係を調べる．また，二択課題に対する個人の意思決定タイミングや選択を説明するために用いられるDrift Diffusion Modelを集団意思決定に拡張したモデルの理論解析を進める．これまでの研究結果をふまえ，社会経済データを選定・入手し，実社会における意思表明タイミングと意思決定の正確さの関係を調べる．
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| Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により，本年度に参加を検討していた国際会議がオンライン開催となり，旅費が発生しなかった．また，本年度の逐次的意思決定に関する理論研究で示唆深い結果が得られたため，その検証が可能な社会経済データを選定・分析したいと考え本年度中のデータの購入を見送った．これらの理由から，次年度使用額が生じた．次年度は，社会経済データを購入し，国際会議での発表や論文の投稿にかかる経費として使用する．
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Research Products
(3 results)
