2020 Fiscal Year Research-status Report
自治体業務改善に向けたデータ効率型都市点検技術の開発と実応用
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20K19930
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河野 慎 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任研究員 (40801288)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 深層学習 / メタ学習 / 群同変性 |
Outline of Annual Research Achievements |
地方自治体の業務を改善するためには深層学習をはじめとした機械学習の導入が欠かせない.深層学習を用いるためには大量のデータセットが必要とされているが,地方自治体ではそれに期待できない.少数のデータセットで深層学習を利用する方法として,データの性質を帰納的バイアスとしてモデルに取り込むことが挙げられる.本研究では,データの性質としてデータの対称性に着目した.データの対称性を適切に扱っているものとして,画像認識分野で広く使われている平行移動に対して同変性を持つ畳み込みニューラルネットワークがある.本研究では,平行移動同変性を含めたリー群に対する同変性を扱う.深層学習モデルに群同変性を持たせることで,モデルの複雑度が下がり,少ない学習データで済むことが期待できる. また一つの地方自治体で集められるデータセットの量は少ないことが想定されるが,複数の地方自治体を対象にすれば大量になる.そこで一つの地方自治体で収集されたデータを一つのデータセットとしてみなし,複数のデータセットを一つの深層学習モデルで扱えるメタ学習を導入する. 本年度は,このメタ学習モデルがデータの対称性を扱えるような手法を研究開発した.メタ学習手法の中でもニューラルプロセスというガウス過程と同じように不確実性を扱うことが可能な深層学習モデルを扱った.実験では,1次関数の回帰と,画像を2次元関数とみなした画像補完を行い,データの対称性(群同変性)を持つニューラルプロセスの効果を検証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,地方自治体での深層学習利用による業務改善を目指しており,地方自治体での状況を踏まえた手法の研究開発をしたという点では,順調に進んでいると言える.一方で,物体検出のような具体的なタスクでのメタ学習研究は行えなかった.しかし,本年度取り組んだ研究は,より一般的な手法であるため,物体検出にも応用できると考えられ,概ね順調に進んでいると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,メタ学習の利用や少数のデータセットにおける有効な深層学習利用について研究開発をしていく予定である.本年度取り組んだ研究手法を物体検出をはじめとしたコンピュータビジョン研究に拡張していき,手法の有効性・応用可能性について探っていく.その後実証実験に向けた準備として,実際にデータ収集システムの構築や実験などを行う予定である.
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Causes of Carryover |
当初の計画では,今年度は大型の計算機購入と学会投稿や発表に経費を利用する予定であった. まず学会発表等は,コロナの影響により出張がなくなったため,利用できなかった. 次に,大型の計算機購入経費については,二つの理由が挙げられる.一つ目は本年度研究開発した手法が,大型計算機を使わない成果になったためである.本年度の手法は,物体検出のようなコンピュータビジョンタスクではなく,万能近似性を示す定理を作り,この定理が成り立つことを理論的及び実験的に示すものであった.そのため今年度前期で計算機資源を追加する必要がなかった.二つ目は,計算機資源の入手困難である.上記の研究成果が出た後,当初の予定通り物体検出技術への応用に関する研究を進めるため,大型計算機の購入を試みた.しかしながら同時期に仮想通貨の高騰に伴い,実験で必要なGPUが品薄となってしまい,入手困難になってしまったこと,そしてより高性能な大型計算機購入を検討した結果,次年度に繰り越し,本年度予算と次年度予算を用いて購入する計画である.また一部の予算は,開発環境用の計算機購入に充てる予定である.
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