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2022 Fiscal Year Research-status Report

東シベリア永久凍土帯に生育する樹木の異常気象に対する脆弱性

Research Project

Project/Area Number 20K19950
Research InstitutionForest Research and Management Organization

Principal Investigator

鄭 峻介  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40710661)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2024-03-31
Keywords樹木年輪 / 東シベリア / 永久凍土 / 異常気象 / 気候変動 / 脆弱性
Outline of Annual Research Achievements

東シベリアの森林生態系における過去150年間の樹木成長量変動特性を明らかにするために、樹木年輪国際データベース(ITRDB)を活用したデータ解析を実施し、これまでに理解が進んでいない突発的に生じる極端な成長量減少イベントについて調べた。その結果、成長量の減少とその後の回復パターンが南北で異なっており、南部のサイトにおいては成長量減少後の回復が不十分なため、成長量が以前の水準まで回復するのにより多くの時間を要するケースが多かったことが明らかとなった。
東シベリアの28サイトにおける樹木年輪幅時系列から、過去150年間においてサイト内の多くの個体で極端に成長量が減少した特徴的な年(成長量極端減少イベント)を抽出し、その際の抵抗・回復・回復力(樹木年輪幅時系列から算出され、樹木脆弱性の指標として利用されている)を算出したのち、それらの関係性について調べた。低温が厳しい北部のサイトでは、回復(イベント時に対するイベント後の成長量比)については値のばらつきが大きく、抵抗(イベント前に対するイベント時の成長量比)は小さな値の範囲に集中的に分布していた。一方で、乾燥が厳しい南部のサイトでは、抵抗は値のばらつきが大きく、回復が小さな値の範囲に集中的に分布していた。その小さな回復のため、南部のサイトにおいては、回復力(イベント時の減少量で重みづけしたイベント前後の成長量比)が小さく、成長量の回復により多くの時間を要するイベントの推定頻度が高かった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

ロシア・ウクライナ国際情勢の影響により、東シベリアのタイガ林サイト(ヤクーツク; 62N, 129E、エレゲイ; 60N, 133E)、及びタイガ-ツンドラ境界域サイト(チョクルダ; 70N,149E)で予定していた現地調査を、令和2-3年度(COVID-19の影響により中止)に引き続き、令和4年度も中止せざるを得なかった。 そのため、令和4年度後半より樹木年輪国際データベース(ITRDB)等を活用したデータ解析を東シベリア広域で進めてきたが、各樹木個体のサイズ・微地形環境の情報は付随していないため、それらを考慮した解析は進められていない。

Strategy for Future Research Activity

樹木年輪国際データベース(ITRDB)等を活用するデータ解析を実施し、過去150年間における樹木成長量変動と気候変動との関係性を東シベリア広域で明らかにする。特に、これまでに理解が進んでいない突発的に生じる極端な成長量減少イベント(成長量極端減少イベント)に着目した解析を進める。令和4年度には、東シベリア広域を対象として、ITRDBの樹木年輪幅時系列から成長量極端減少イベントの時空間分布について調べ、成長量の減少とその後の回復パターンが南北で大きく異なっていたことを明らかにした。令和5年度は、それら成長量極端減少イベントの規模・頻度と気候変動との関係性について評価する。具体的には、過去120年間の観測ベースの気温・降水量時系列 (Climate Research Unit 0.5°月平均グリッドデータ)を用いて、東シベリア広域で観測される異常気象を、それぞれの種類 (極端な高温/低温、大雨/干ばつ)・規模(10・30・50・100年に1度)・長さ毎に整理する。その後、成長量極端減少イベントの規模・頻度との関係性、さらには、その際の抵抗・回復・回復力との関係性を評価する。特に、先行研究から樹木脆弱性評価により重要である可能性が指摘されている回復力に着目し、その値が低い個体の割合が高いサイト、さらには、そのようなサイトの割合が高い地域を抽出し、樹木脆弱性への気候変動影響を重点的に明らかにする。

Causes of Carryover

ロシア・ウクライナ国際情勢の影響により、令和4年度夏季に実施予定であった東シベリア現地調査を中止せざるを得なかった。そのため、調査旅費や、備品経費、さらには成果発表に関連する経費に関して次年度使用額が生じた。令和4年度後半より、樹木年輪国際データベース(ITRDB)等を活用したデータ解析を進めている。次年度使用額はそのデータ解析補助を担当する研究助手の人件費として主に使用する予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2022

All Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Changes in Forest Conditions in a Siberian Larch Forest Induced by an Extreme Wet Event2022

    • Author(s)
      Aleksandr Nogovitcyn、Ruslan Shakhmatov、MOROZUMI Tomoki、TEI Shunsuke、MIYAMOTO Yumiko、NAGAI Shin、Trofim C. Maximov、SUGIMOTO Atsuko
    • Journal Title

      forests

      Volume: 13(8) Pages: 1331

    • DOI

      10.3390/f13081331

    • Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
  • [Presentation] Spatio-temporal variation in vulnerability and resilience of tree radial growth to climate changes in Eastern Siberia2022

    • Author(s)
      鄭峻介
    • Organizer
      日本地球惑星科学連合2022年大会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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