2021 Fiscal Year Annual Research Report
先端的XAFS法と同位体分析を用いたエアロゾル中の有害元素の起源および動態の解明
Project/Area Number |
20K19953
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
孫 静 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (40868428)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 同位体分析 / エアロゾル / XAFS / TES / 有害金属元素 |
Outline of Annual Research Achievements |
2050年の地球環境において健康リスクが最も高い環境因子は大気汚染といわれ、年間600-900万人の人の寿命短縮が生じると予想されている(OECD, 2012)。特に重要な大気中のエアロゾル(PM2.5など)の重要構成成分の1つが、比較的揮発性の高い有害金属元素(例:Ni、Zn、Cd、Sb、Pbなど)である。これらの大気中濃度には多くの研究がなされているが、挙動解析で本質的に重要な各元素の化学種や、これら元素の起源を反映する同位体比については、研究が十分ではない。本研究では、超伝導転移端検出器(TES)を用いた超高感度なX線吸収微細構造(XAFS)分析による化学種解析と同位体分析を粒径分画採取したエアロゾルや室内塵に適用し、その起源や大気中での化学反応素過程、沈着後の挙動(水溶性など)などを解明することを目的とした。TESの利用においては、特にテンダー領域(2-5 keV)の分析に有効であることが分かった。そのため、このエネルギー領域の吸収端があるセシウムについて、特に研究を進めた。セシウムを含む環境化学的に重要な物質として、福島第一原発事故で発生した放射性セシウム濃集粒子(CsMP)に着目して研究を進めた。その結果、TESを用いた蛍光XAFS法により非晶質シリカを主成分とする粒子中のセシウムの化学状態を調べた。その結果、セシウムはシリカ中の溶解した状態で存在していることが分かり、これまで指摘されてきた塩化セシウムやヨウ化セシウムの状態では存在しないことが分かった。その他、X線CTによる粒子内部の観察なども行った。
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Research Products
(1 results)