Outline of Annual Research Achievements |
【粒子態微量金属同位体比分析法の確立】キレート樹脂と陰イオン交換樹脂を用いてNi, Cu, Zn, Pb同位体比分析法を開発した.分析法の精度および確度は,都市大気塵,海底堆積物,植物プランクトンの標準物質を分析し,評価した.得られた分析値は,南カリフォルニア大学,チューリッヒ工科大学の研究室で得られた値と誤差の範囲内で一致した. 【エアロゾル中微量金属の分析】能登半島で7つの粒径分画に分けて採取したエアロゾル中のNa, Mg, Al, K, Ca, Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Ga, Mo, Cd, Pb濃度およびNi, Cu, Zn, Pb同位体比を分析した.元素濃度比および同位体比から,粗大エアロゾル中のNi, Cu, Zn, Pbの起源が主に道路粉塵であることが推定された.また,微小エアロゾル中Ni, Cu, Zn, Pbは,化石燃料の燃焼または冶金産業によって排出されたものであることが示唆された. 【沈降粒子中微量金属の分析】日本海大和海盆の1057 mおよび2100 mで採取された沈降粒子中Na, Mg, Al, P, K, Ca, Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Ga, Mo, Cd, Pb濃度およびNi, Cu, Zn, Pb同位体比を分析した.沈降粒子中のPb同位体比は,大気エアロゾル中のものと同程度であり,大気エアロゾルに含まれるPbが深海まで粒子として沈降していることが示唆された.Ni, Cu, Znの同位体比は,陸源堆積物の同位体比に比べて高く,陸源堆積物の他に粒子態Ni, Cu, Znの供給源があることを示唆した.今後,解析を進めて,粒子態微量金属の起源をより精確に明らかにする. 【雨水中微量金属の分析】日本国内で採取した雨水の微量金属濃度および同位体比についての論文を発表した.
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