2020 Fiscal Year Research-status Report
細菌の表面粗さが制御する海洋ナノサイズ粒子付着機構の解明
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20K19960
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Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
山田 洋輔 沖縄科学技術大学院大学, 海洋生態物理学ユニット, 研究員 (80773720)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 海洋細菌 / ナノサイズ粒子 / 表面性状 |
Outline of Annual Research Achievements |
細菌表面粗さとナノサイズ粒子付着との関係を詳細に解明することにより、海洋炭素循環の鍵プロセスである細菌の有機物利用・分解過程の理解を深化させることが本研究の最大の目的である。本研究では細菌表面粗さという新規パラメータに着目し、細菌によるナノサイズ粒子付着機構の解明に必要なサブテーマ1と2を設定したが、ここでは、その実績概要について、サブテーマごとに記述する。
サブテーマ1:細菌表面粗さは生物の死骸や破片、他のナノサイズ粒子の付着も制御しているのか、については、海洋ウイルスおよびポリスチレン粒子をモデル粒子として使用した細菌との培養実験により、ナノサイズ粒子の種類によって、細菌への付着に大きく差があることが見えてきた。今後その他のナノサイズ粒子も用いて培養実験を行い、制御要因の解明に向けて、さらに実験を行っていく。
サブテーマ2:様々な海洋物理化学環境要因は細菌表面粗さに影響するのか、については、沿岸域および外洋域(海域の異なる2つの研究航海)での環境パラメータ測定および細菌サンプルの採取を行い、細菌表面粗さとの比較を進めている。まだ、解析数が少なく、明確な制御要因は見えてきていないが、解析数を増やしつつ、解明を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サブテーマ1に関しては、培養実験に必要な試薬やモデル粒子を入手し、培養実験を行うことで、ナノサイズ粒子の種類により、細菌への付着が大きく異なることが明らかになりつつある。
サブテーマ2に関しては、沿岸域および外洋域での環境要因測定とサンプリングを行い、既に異なる海域・季節・深度のサンプルがそろいつつある。今後、さらなる培養実験と現場観測、および、既に採取したサンプルを解析していくことで、補助事業期間中に本研究の目的達成が十分可能だと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
サブテーマ1については、表面構造の異なるポリスチレン粒子等をモデル粒子として使用した細菌との培養実験により、ナノサイズ粒子と細菌との付着における制御要因解明に向けて、さらに実験を行っていく。細菌の種類も変えつつ、実験を行っていく予定である。
サブテーマ2については、5月に外洋域の航海に参加し、異なる海洋環境要因(水温・深度・その他のパラメータ)と細菌表面性状の違いを比較できるサンプルをさらに採取する。そして、これまで得られたサンプルと合わせて、解析を進め、海洋環境要因が細菌表面性状にどのような影響を及ぼしているか明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
2つの研究航海に参加できることになり、予定していた培養実験と現場観測の日程を入れ替えた関係で、培養実験に必要な物品・試薬類の一部購入を次年度にした。また、これら2つの研究航海がCOVID-19のために延期になり、いずれも数か月から半年ほど実施時期が遅れたため、これらの航海で得たサンプル解析に必要な物品・試薬類の購入を次年度にした。
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