2021 Fiscal Year Research-status Report
アイスコア中の鉱物ダスト粒子から探る氷床縮小に伴う陸域環境変動
Project/Area Number |
20K19962
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
小室 悠紀 国立極地研究所, 先端研究推進系 気水圏研究グループ, 特任研究員 (60867331)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | グリーンランド / アイスコア / 鉱物ダスト / 陸域環境変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1)アイスコアを用いてグリーンランド氷床上における過去の鉱物ダスト粒子(以後、粒子と略す)の時間変動を復元することと、2)氷床周辺地域を起源とする粒子の時間変動が、同地域のどのような環境要因の変動と関係しているかを明らかにすることである。これらの成果は、温暖化に伴う氷床周辺地域の環境変動と、氷床表面における粒子変動の関係を明らかにすることで、粒子によるアルベド低下に伴う氷床融解のメカニズム解明に貢献する。 令和3年度は、 (1)の目的を達成するために、前年度に引き続きグリーンランドアイスコアの分析を実施した。深度65mから133mまでのコアを、国立極地研究所の連続自動融解分析装置(CFA)を用いて分析した。CFAシステムを構成する分析機器を用いて、各種化学成分や、粒子成分の高分解能分析を行なった。コアの融解液の一部から、 コールターカウンターを用いて粒子成分の分析を行い、CFAの分析値と相互比較を行なった。 次に、これらの分析結果を用いてアイスコアの年代決定を行なった。測定成分の季節変動に基づいて、最表面から1年毎の層厚を推定した。火山噴火を起源とする成分のシグナルと、過去の火山噴火歴を比較することにより、火山噴火に基づく年代の制約を行なった。これらの解析の結果、今年度に分析したコアの年代幅は、600年分に相当することがわかった。昨年度の分析結果と合わせると、このコアは過去1000年間の粒子変動を保存していることが明らかになった。 過去のグリーンランド氷床周辺の気温や積雪面積と、同地域を起源とする粒子の発生量の関係を調べるために、北大西洋振動指標(NAOインデックス)と、アイスコアから得られた大きい粒子の濃度の時間変動を比較した。その結果、両者の時間変動が比較的整合的であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響で、アイスコア分析室の利用人数などが制限されていたことにより、分析スケジュールに遅れが生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
アイスコアの化学成分分析などを継続して実施する。アイスコアの分析結果と、NAOインデックスをはじめとした古環境指標との比較を行う。特に、比較可能なデータが多い、過去100年程度の年代に注目した解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で、アイスコア分析が遅れたことにより、分析費用が想定よりも少なくなったため。また同様の理由で、参加予定の学会がオンライン開催となり、旅費がかからなかったため。次年度に繰り越した分は、主に分析やデータ解析用の物品購入費や、旅費として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] Dating and solid particle analysis of a shallow ice core obtained from EGRIP, Greenland2021
Author(s)
Yuki Komuro, Fumio Nakazawa, Kumiko Goto-Azuma, Naoko Nagatsuka, Motohiro Hirabayashi, Jun Ogata, Kaori Fukuda, Naoyuki Kurita, Kyotaro Kitamura, Ayaka Yonekura, Trevor J. Popp, Dorthe Dahl-Jensen
Organizer
The 12th Symposium on Polar Science
Int'l Joint Research
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[Presentation] グリーンランドEGRIP浅層コアの年代決定及び固体粒子解析2021
Author(s)
小室悠紀, 中澤文男, 東久美子, 平林幹啓, 尾形純, 福田かおり, 栗田直幸, 北村享太郎, 米倉綾香, Trevor J. Popp, Dorthe Dahl-Jensen
Organizer
雪氷研究大会(2021・千葉-オンライン)
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