2021 Fiscal Year Annual Research Report
花粉の安定同位体比にもとづく古気候復元 ―定量的復元に向けたデータセットの構築―
Project/Area Number |
20K19966
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Research Institution | Fukui Prefectural Satoyama-Satoumi Research Institute |
Principal Investigator |
山崎 彬輝 福井県里山里海湖研究所, 研究部門, 研究員 (30845607)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 安定同位体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では「花粉を構成する元素」に着目し、花粉の安定同位体比と気候の対応関係にもとづいた定量的な古気候復元を目指して研究を行った。初年度は、日本全国の様々な気象条件下で生育する樹木の花粉を収集した。その際、新型コロナウイルス感染拡大防止による対応のため、採取対象をスギ花粉に限定して試料サンプリングを実施した。サンプリングした花粉試料には、本課題で分析対象としている花粉殻のスポロポレニンのほかに、細胞質も含んでいる。そのため、この試料から花粉殻のスポロポレニンを安定的に単離する手法を開発した。二年度は、初年度に引き続き花粉試料のサンプリングを実施した。この年も新型コロナウイルス感染拡大防止に配慮しながら、スギ花粉のほかに、ハンノキ属花粉、ヒノキ花粉およびコナラ属花粉を採取した。これらの試料の生育環境の分布は、年間平均気温ベースで4~17℃程度の地域をカバーしている。ただし、採取した花粉のうちスギ花粉以外については十分な地点数のサンプリングができなかった。そのため、このうちのスギ花粉約131試料について、前処理としてスポロポレニンの単離処理を行ったうえで、採取した花粉の酸素安定同位体比を測定した。並行して、花粉試料採取地点の各種メッシュ気象データを取得した。気象データとして、気温、降水量、湿度、日射量など13項目を取得した。これらの安定同位体比と気象データを踏まえて、どのような気象条件が花粉の酸素安定同位体比に影響を及ぼすのか検討した。その結果、平均気温が花粉の安定同位体比とよい相関関係にあることがわかった。また、降水量や相対湿度は季節ごとに相関関係の正負が逆転した。一方で、そのほかの項目には強い相関関係は認められなかった。 (4ヶ年のうち2ヶ年で廃止)
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