2022 Fiscal Year Research-status Report
オルガノイドとRNA-Seqによる腸管幹細胞と微小環境への放射線と加齢の影響評価
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20K19971
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Research Institution | Central Research Institute of Electric Power Industry |
Principal Investigator |
藤通 有希 一般財団法人電力中央研究所, サステナブルシステム研究本部, 主任研究員 (80638023)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | オルガノイド / 腸管 / ステムセルエイジング / 放射線 / RNA-Seq |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線を照射した正常細胞等において、早期老化が生じることはよく知られている。一方、発がんの標的とされる生体内の組織幹細胞について、幹細胞老化の実体や放射線被ばくによる早期老化、発がんと老化との関連性など、放射線リスクを考える上で重要であるが、未解明な課題が残されている。本研究では、発がんリスクの高い臓器の一つである腸管に着目し、網羅的遺伝子発現解析(RNA-Seq)を用いて、放射線照射したマウスの腸管幹細胞および幹細胞維持に重要であるパネート細胞において、加齢に関連する応答の有無とその程度を明らかにすることを目的とした。さらに、腸管幹細胞からミニ臓器(オルガノイド)を形成する手法を用いることにより、放射線照射や加齢が幹細胞とパネート細胞のどちらに、より決定的な影響を及ぼすのかを評価することを目的とした。これらのRNA-Seqのデータとオルガノイド実験のデータを紐付けることにより、RNAの発現変化がクリプト構造を構成する能力に与える影響を考察する。令和2年度に老齢マウスの繁殖・飼育を開始し、RNA-Seqのプロトコール選定を行った。また、14週齢と51週齢マウスについて、小腸オルガノイド形成効率やクリプト細胞中における幹細胞存在割合の比較を行った。令和3年度は若齢マウスの解剖を行い、サンプル調整を進めた。また、幹細胞とパネート細胞を混合培養して放射線影響を観察する混合オルガノイド実験を行った。令和4年度は、非照射の若齢・老成マウスから採材した幹細胞およびパネート細胞についてRNA-Seqのデータを取得し、解析に着手した。また、公開されたマウスデータを放射線が老化を加速させるのかといった観点から再解析した結果について報告した論文が掲載され、腸管幹細胞における放射線応答について報告した論文が掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
産後休暇・育児休職により研究を中断したが、RNA-Seqについてデータを取得したため、研究計画は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度に取得した非照射の若齢・老成マウスの幹細胞およびパネート細胞のRNA-SeqのデータについてR5年度に解析を進める。また、照射マウスについてのRNA-Seqのデータ取得・解析を令和5~6年度、揃ったデータの取りまとめを令和6年度、論文投稿や国際学会での成果発表を令和6年度に実施する予定。
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Causes of Carryover |
実験をより効果的・効率的に進めるため、物品費を一部繰り越した。照射群のRNA-Seq実験に用いる。
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