2021 Fiscal Year Annual Research Report
ハウスダスト中化学物質プロファイル解明とペット動物を用いた健康リスク評価法の開発
Project/Area Number |
20K19975
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
水川 葉月 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (60612661)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ハウスダスト / 家庭用薬剤 / 室内環境 / 網羅分析 / リスク評価 / LC-MS/MS / GC-MS / ペット動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハウスダストに蓄積した可塑剤や難燃剤・殺虫剤などの揮発性の低い準揮発性有機化合物(SVOC)について、ターゲット分析および網羅的スクリーニング分析を組み合わせることで、微量有害物質の詳細プロファイルとその地域特性を明らかにするとともに、室内における化学物質曝露のリスク評価を実施する。愛媛県および北海道の一般家庭で採取したハウスダストについて、LC-MS/MSによる農薬成分のターゲット分析を行ったところ、ネオニコチノイド系やピレスロイド系殺虫剤、フィプロニルとその分解物など22成分が検出され、フィプロニルが最も高濃度であった。とくに、フィプロニル含有のペット用ノミ・マダニ駆除剤の使用歴があるペット飼育家庭では高濃度で検出されたことから、製品の使用によるハウスダスト汚染が示唆された。室内のシロアリ駆除剤として使用されているネオニコチノイド系殺虫剤の検出には地域差があり、愛媛県ではジノテフラン・アセタミプリドが、北海道ではチアメトキサムが検出され、気温や湿度など気候の違いにより使用成分も異なることが推察された。GC-MSによる網羅的スクリーニング分析の結果、フタル酸エステル類、多環芳香族、リン系難燃剤等を含む計46成分が検出され、濃度および検出頻度が最も高かった成分はフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)であった。ヒトへの曝露リスク評価として、一日許容摂取量及び耐容一日許容量を用いたハザード比(HQ)を算出したところ、フィプロニルのHQはリスクの懸念があるとされる1を上回り、さらに、フタル酸ジ-n-ブチルとフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)においては0.1≦HQ<1の範囲となったことから、健康へのリスクの可能性が示唆された。いずれの物質においても小児のHQは青年・大人と比較して高値であることから、ハウスダストを介した化学物質曝露は小児においてよりリスクが高いことが考えられた。
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Research Products
(8 results)