2022 Fiscal Year Annual Research Report
イルカのコンタクトコールを用いた受動的音響観測システムの確立
Project/Area Number |
20K19976
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
三島 由夏 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (90854761)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イルカ / コンタクトコール / 音声発達 / 指向性 / コミュニケーション / 鳴音 / 受動的音響観測 / 生物音響 |
Outline of Annual Research Achievements |
カマイルカは数種のパルス音が決まったパターンで繰り返されるパルスシークエンスをコンタクトコールに用いている。2021年度に引き続き、カマイルカのパルスシークエンスの機能に関する知見を広げるため、新潟市水族館マリンピア日本海のカマイルカの母仔を対象に鳴音収録・行動観察を行った。現在仔の鳴音発達過程について総合的にまとめている段階である。 伊豆・三津シーパラダイスで録音したデータから、カマイルカのパルスシークエンスのピーク周波数や送波音圧、指向性の解析を行った。ピーク周波数は8kHz~20kHz、送波音圧は161dB~176dB程度であり、ピーク周波数では無指向性に近いことが分かった。また、カマイルカはパルスシークエンスを出すときに、必ずしも相手の方を向いたり、近づいたりしないということも明らかになった。さらに、相手との距離が増加するにつれて、送波音圧を上昇させている可能性が示唆された。 2021年度は陸奥湾で過去に録音した断片的なデータを用いて、パルスシークエンスを自動検出する手法を検討した。本年度は、陸奥湾・噴火湾に録音器を設置して3か月程度連続録音を行い、この2つの海域の長期データから鳴音を自動検出することを目指した。また、カマイルカの存在を見落とさないようにするために、パルスシークエンスに加えて、探知に用いるクリックスと呼ばれる音も検出する手法を検討した。さらに、学習させる鳴音の信号対雑音比も算出し、検出できる鳴音の客観的な指標を設けた。現在、この分類器の評価を行っている。
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