2021 Fiscal Year Research-status Report
生体を模倣したin vitro毒性評価を実現する魚類肝細胞スフェロイドの高機能化
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20K19979
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
本田 晴香 (古賀晴香) 秋田大学, 理工学研究科, 助教 (90756983)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 魚類肝細胞 / スフェロイド / 細胞外マトリクス |
Outline of Annual Research Achievements |
魚類肝細胞は、in vitroにおける環境評価試験や環境毒性試験での重要な細胞源である。魚類肝細胞を用いたセルベースアッセイでは、細胞をフラスコやシャーレ底面に接着、伸展させる単層培養法が利用されてきた。単層培養法では、生体内の細胞が元来有する構造や機能を数日で失ってしまうため、長期に渡る試験が困難である。一方、細胞を三次元的に集合・凝集させるスフェロイド培養は、単層培養よりも生体に近い機能を模倣できることが数多く報告されている。 申請者は、スフェロイド形成時に細胞外マトリクス(ECM)を添加することで、魚類肝細胞スフェロイドのさらなる機能発現の向上を発想した。本研究では、「スフェロイド化+ECM成分添加」の相乗効果により、生体内の細胞の立体構造や機能を模倣し、それを少なくとも1か月間維持可能な、魚類肝細胞スフェロイド培養方法の確立を目指す。 2021年度(令和3年度)は、ECM添加による魚類肝細胞株(PLHC-1細胞)のスフェロイド化を試みた。ECMとして、コラーゲン、ゼラチン、および人工コラーゲンペプチド溶液を添加し、スフェロイドの形態と構造、薬物代謝活性に与える影響を評価した。今年度実施した実験条件(3種類のECM)では大きな差が見られなかったが、ゼラチン溶液添加群が、やや高い薬物代謝活性を示す可能性が示唆された。 一方、魚類肝細胞のスフェロイド化に関する知見は少ない。そのため、今後の研究の展開として、魚類肝細胞の機能向上を目指すため、他の因子も検討しておく必要があると考えた。ECM添加の実験と並行し、「培養基材の違い」が肝細胞の増殖や形態に与える影響について、評価を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度(令和2年度)の異動に伴い、実験機器の運搬、設置、整備に時間を要したこと、また、今回の実験条件では想定していたような効果が得られなかったため、「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ゼラチン溶液添加群がやや高い薬物代謝活性を示したものの、大きな差が見られなかった。そのため、溶液ではなくパウダー状のゼラチンによるスフェロイド化を試みている。また、これまでは酵素活性を測定していたが、より詳細にECMの効果を評価するため、薬物代謝酵素や細胞間結合等、肝細胞機能の遺伝子発現レベルでの解析の準備を進めている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、学会はオンラインで出席したため、旅費が不要となったため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、遅れている分の実験を効率的に進めるため、主に実験用消耗品に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)