2021 Fiscal Year Research-status Report
硫酸還元細菌のパラキシレン分解経路解明と石油汚染環境修復への応用
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20K19987
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
渡邊 美穂 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (70867184)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 嫌気性 / 細菌 / 石油 / 環境浄化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度においては1)硫酸還元-パラキシレン分解経路の解明、2)石油分解Desulfosarcina細菌株の探索を主な目的とした。 1)硫酸還元-パラキシレン分解経路の解明:パラキシレン添加した硫酸還元細菌用培地でパラキシレン分解性硫酸還元細菌株を嫌気的に培養し、中間代謝産物の特定を行った。細菌株の増殖は、硫酸呼吸に伴う硫化水素生成量によって追跡した。IR-MSによる代謝産物分析の結果、パラ位置にメチル基の保持された物質がいくつか検出された。分析結果とゲノム情報を総合し、当細菌株は一般的な嫌気的芳香族炭化水素分解経路と同様の付加反応を経由してパラキシレンを分解していることが考えられた。 2)石油分解Desulfosarcina細菌株の探索:秋田県内の3つの油田・ガス田から試料を採取し硫酸還元細菌を標的にした培養試験を行った。石油系炭化水素(アルカン・シクロアルカン・芳香族炭化水素等)を基質としたいくつかの培養で硫化水素生成が起きており、硫酸還元細菌の生育が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
硫酸還元-パラキシレン分解経路の初発経路をとらえることができたのは重要な成果である。また、本年度は秋田県内の油田・ガス田の微生物群集構造解析を行うことで地下環境の石油系炭化水素分解微生物の探索を行った。石油系炭化水素分解硫酸還元細菌の分離には至っていないものの、分解に寄与しうると考えられる微生物を培養系内に集積することが出来た。以上のことから、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、パラキシレン嫌気分解の中間代謝産物をより詳細に特定するために安定同位体標識したパラキシレンを使用して培養試験を行う。また、石油系炭化水素利用性硫酸還元細菌株の分離と特徴づけを行っていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、微生物機能解析の外注分析においてサンプル品質が分析基準に達さず、キャンセルとなったためである。次年度において再解析を試みる予定である。
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